- 公認会計士に興味があるけれど、周囲に相談するとやめとけと言われたりする…
- 実際に公認会計士になると、どんな仕事をすることになるか把握したい!
- 実際に公認会計士の経験がある人の話を聞きたい!
そんな”公認会計士になりたいけど迷っている”というあなたのためにまとめました。
公認会計士は、資格取得に膨大な時間がかかる上に合格率も低くなっている資格です。
勉強を始めるにも覚悟が必要になりますし、入念な情報収集を行う必要があります。
そして、公認会計士を目指すとなると「やめとけ」という後ろむきな声があることも確かです。
そのような環境では、資格取得に踏み出すかどうかも迷いがちになるでしょう。
この記事では、公認会計士が「やめとけ」と言われる理由をまとめました。
また、実際に公認会計士として10年以上働いている人のインタビューを踏まえて、仕事内容もまとめています。
公認会計士を目指すかどうか迷っている人にとって有益な内容になっています。
参考にしてみてください。
公認会計士はやめとけと言われる理由3選!
まずは「公認会計士はやめとけ」と言われる理由についてまとめます。
公認会計士の仕事は、資格取得に時間や労力がかかることもあり、周囲に相談すると「やめとけ」と諭されることもしばしばあります。
周囲の声を聞いていると、本当に自分は公認会計士を目指していいのか、ということを疑いたくなることもあるでしょう。
ここでは、やめとけと言われる理由について、公認会計士の声も参考にしながらまとめました。
ただし、この記事は「公認会計士になるな」と一方的に煽るわけではありません。
周囲の声や自分の気持ちと向き合いながら、最終的には自分の意思で決定することが大事です。
そのつもりで、一つの参考にしてみてください。
合格する確率が低く敬遠されがち
公認会計士の資格は合格率が低く敬遠されがちであり、そのことが「やめとけ」という意見につながっているパターンがあります。
実際のデータを引用すると以下の通りです。
2021年2月16日(火)に発表された令和2年(2020年)公認会計士試験の合格率は10.1%、最終合格者数は1,335人です。なお、この合格率は願書提出者を分母に、論文式試験合格者を分子にした合格率です。「願書提出者」には、試験欠席者も含まれているため、実質的な合格率はこれよりも数ポイント程度高いと考えられます。
試験の欠席者も含めた合格率ではありますが、最終合格率は10.1%ということで、約10人に1人しか受からない計算になります。
かなりの学習期間を設けて臨む人が大半であるなかで、これだけの合格率というのはなかなかの厳しさと言えるでしょう。
ちなみに、公認会計士の合格に必要な学習時間は約3500時間と言われています。
これは、2年間で考えると毎日約5時間の勉強時間を確保しなければいけない計算になります。
確かに、これだけの勉強時間を費やして、低い合格率となると、不合格だったときのことを考慮して挑戦を止めたくなる気持ちも理解できます。
よほど深いモチベーションがないと、なかなか到達できない壁といっていいでしょう。
公認会計士はやりがいのある仕事です。
しかし膨大な勉強量と低い合格率をくぐり抜ける必要もあることを、理解しておく必要があるでしょう。
仕事が激務でしんどい
公認会計士の仕事は激務であることが知られています。
某大手監査法人では、平均月間70時間程度の残業が生じているというデータもあり、かなり業務量も多いと言えます。
監査法人はクライアントの決算時期に業務が集中することが一般的です。
そのため、繁忙期には終電近くまで仕事をこなさなければならないことも想定されるでしょう。
会計士の平均給与は1000万円近くになるため、見返りも大きいです。
しかし、かなりの体力勝負であることは念頭に置いておく必要があります。
仕事を単調に感じる人もいる
人によっては会計士の監査業務を単調だと感じる人もいるようです。
会計士を仕事にしている知人の話を聞いても「法律にがんじがらめの仕事だ」とか「監査の仕事は単調だ」という声を聞くこともあります。
そのため、取り組み方や個人の志向によっては、あまりやりがいを感じられないこともあるようです。
実際に早いタイミングで監査法人の仕事に見切りをつけて、他のベンチャー企業に転職している人もいました。
どの仕事でも取り組み方や目指す方向性によって、楽しくもつまらなくもなります。
しかし、公認会計士の仕事は難易度が高く独占業務もある仕事であり、特殊な特徴を持っています。
勉強に踏み出す前に、どういった業務を行うことになるのか、しっかりと下調べをしておく必要があるでしょう。
AIに仕事を奪われることを危惧する声がある
これはあくまで一般論にはなりますが、「公認会計士の仕事は将来AIに奪われる」という意見があることも事実です。
その意見を参考にしている人たちが、公認会計士は将来性がないと切り捨てていることがあるようです。
例えば、下記のような記事です。
奪われる仕事のトップは14兆円規模の小売店販売員だった。Eコマースの進展などを鑑みればそれは容易に想像できるが、2位に挙がってきたのは会計士で、代替市場規模は11.8兆円に上る。
このような記事の内容を信じた読者が、会計士の将来性について憂いているパターンです。
もちろん、AIの登場によって仕事を失うような職種も一定数あるでしょう。
例えば、最近では小売店のレジは自動化が進んでおり、人が少なくて済むようになっていますよね。
もしかしたら今後、公認会計士の業務も一部はAIに代替されることがあるかもしれません。
しかし、だからと言って公認会計士の仕事に就くことがムダになるとは、筆者は全く思いません。
むしろ、膨大な勉強時間を割いた努力の習慣や、業務で触れてきた会計に関する知識や経験は間違いなく、将来のキャリアに生きてくると考えています。
そもそも仕事はコミュニケーション能力やロジカルシンキング、マネジメントなどの幅広い経験や能力が求められるものです。
もし仮に公認会計士の業務がAIにとって代わられたとしても、業務を通じて得た”仕事の総合力“は誰にも奪われません。
他の仕事でも十分に、公認会計士の仕事経験を生かせることでしょう。
これらのことから、「AIが発達してきているから、公認会計士は”やめとけ”」とだけ言うことはナンセンスと考えられます。
公認会計士の仕事という、プレッシャーの大きい仕事をこなした経験にこそ価値があります。
そもそも、どんな仕事であっても10~20年後にどうなっているかなんてわからないですからね。
AIを引き合いに出されて「やめとけ」と言われたのであれば、今一度自身のモチベーションの源を見直しつつ、前向きに進んでいくことをおすすめします。
公認会計士の仕事内容と給料
ここからは公認会計士として、10年以上働かれている現役の方からのインタビューをもとに仕事内容などをまとめました。
実際に仕事をしている様子をイメージできるはずです。
公認会計士を検討する上での参考にしてみてください。
仕事内容
公認会計士の仕事内容は多岐にわたりますが、下記のような仕事がメインになります。
- 会計監査
- 税務
- 会計を中心としたコンサルティング業務
会計監査は公認会計士のみが行うことができる独占業務で、決算書が適正に作成されているかどうかチェックします。
上場企業や大会社、その他投資法人や信用金庫、独立行政法人などさまざまな法人は、法令によって公認会計士または監査法人の監査を受けることが義務付けられています。
監査を受けることが必要なのは、投資家や株主、債権者などにたいして法人が責任を有しているためです。
キャリアのスタートとして、大半の会計士がまず会計監査業務から経験を積みます。
税務は、税理士の独占業務ですが、公認会計士となると税理士登録も可能であるため、税務業務を中心に行っている会計士も存在します。
税務業務の主な内容は、税務代理と税務書類の作成、および税務相談です。
個人や法人の税務申告は、本来なら個人・法人の本人が行わなければなりません。
税理士は、税務申告書類の作成と実際の申告を本人に代わって行うこと、および税務に関する相談を受けることが認められています。
公認会計士が税務を行うのは、独立開業した場合が多くなります。
これは、独立開業した場合には、監査法人のように大企業の監査業務を受注することは困難であるため、主要顧客である中小企業のニーズに対応しようとした結果、自然と税務相談を受ける機会が増加するためです。
会計を中心としたコンサルティングは公認会計士の独占業務ではありませんが、監査や税務の専門知識を生かせることからコンサルティング業務を中心とする会計士も多くいます。
具体的な内容としては、企業の買収や合併、組織再編などの際に支援を行うM&Aアドバイザリー業務、決算書を適正に作成するための支援や資金調達を円滑に行うためのアドバイスである会計コンサルティング、経営悪化した企業の再生支援を行う事業再生コンサルティング、上場支援等があります。
給料と年収
平均的な年収は850万円前後です。
スタート時の年収は400万円程度が平均です。
公認会計士の仕事のやりがい
公認会計士のやりがい、面白さは2つあります。
まず、1つ目は、「若手のうちから通常では公開されていない企業の機密情報に触れることができる点」です。
監査をはじめとした公認会計士の業務では、対象となるクライアントの業務について深く理解することが求められます。
このため、1年目から企業の意思決定機関である取締役会の議事録を読んだり、通常では見学することができない工場の生産現場を実際に目で見ることができます。
また、必要に応じて役員へのヒアリングを行うこともあります。
このような経験は通常の会社ではめったにできなかったり、できたとしてもある程度経験を積む必要があるので、若手のうちから貴重な情報に触れることができるというのは、面白く、また、短期間で成長を実感できる機会が整っているといえるでしょう。
2点目は、「企業の役に立っていることを実感できるという点」です。
会計士は会計や税務の専門知識を生かして、アドバイスや指導業務を求められます。
このため、会社の成長をサポートし、感謝されるというのは大きなやりがいの一つと考えます。
ここが嫌ならやめとけ!公認会計士の仕事で辛いこと
公認会計士の仕事でつらいのは、2つあります。
まず一つ目は、「企業の決算期に合わせて仕事が増減するため、繁忙期は労働時間が増加すること」です。
公認会計士の監査や税務業務では、締切が決まっていることが一般的で、それまでの間に成果物を作成することが求められるため、繁忙期は残業時間が増加するとともに、限られた時間内に仕事を終わらせなければならないプレッシャーがかかります。
二つ目は「常に自己研鑽が求められるという点」です。
会計や税務は毎年基準改正があります。
また、公認会計士の業務については年々IT化が進んでおり、一度試験に合格すればその後は勉強しなくてもいいというものではありません。
実際に公認会計士の資格を維持するためには毎年必要な研修時間を確保する必要があります。
また、クライアントのニーズを満たした業務をするためには、クライアントの事業自体の変化にも目を光らせる必要があります。
知的好奇心をもち、常に勉強し続ける姿勢が、第一線で活躍し続ける会計士であるために要求されます。
公認会計士へ向いている人の特徴3つ
①知的好奇心が旺盛な人
②チームワークを大切にできる人
③コツコツ地道に努力できる人
①知的好奇心が旺盛な人
公認会計士には知的好奇心が要求されます。
なぜならば、特に公認会計士の独占業務である監査においては、クライアントの業務を深く理解し、どこにリスクがあるのか、決算書で間違いや粉飾をしやすいところはどこであるのかについて把握する必要があるためです。
クライアントを取り巻く事業環境は毎年同じということはめったになく、通常どんどん変わっていくものであるため、知的好奇心をもち、「なぜ去年と変わったのか?」「なぜ好調/不調なのか?」という視点を常に持つことが大切です。
また、会計や税務は毎年基準改正があることや、公認会計士の業務については年々IT化が進んでおり、一度試験に合格すればその後は勉強しなくてもいいというものではありません。
このような環境で常に自己研鑽が求められるため、知的好奇心が旺盛な人でなければ、公認会計士として第一線で活躍し続けるのは難しいと考えます。
②チームワークを大切にできる人
公認会計士を志す人の大半は、監査法人や会計事務所での監査業務からキャリアをスタートさせます。
監査業務は通常、一人で業務が完結するものではありません。
クライアントの規模にもよりますが、複数の会計士がお互いに協力しあって、一つの会社の決算書の適切性を検証しています。
このため、「自分の業務が終わればいい」「自分がやりたいことができればいい」という方は公認会計士に向きません。
チームワークを大切にして、自分の仕事がチーム全体の中でどのような役割を果たしているのか、その結果決算書の適切性の検証にどのような影響を及ぼしているのか考えられる人が成長スピードが速く重宝されます。
また、そのような視点がないと、自分の仕事を効率的に終わらせることもできません。
よって、チームワークを重んじ、先輩・後輩・同僚とのコミュニケーションを円滑にできる人が向いていると考えます。
③コツコツ地道に努力できる人
公認会計士に向いている性格として、3つ目にコツコツと地道に努力できることが挙げられます。
そもそも公認会計士になるために国家試験に合格する必要がありますが、この試験に合格するための準備期間は1年以上必要であり、長期にわたってコツコツ地道に努力することができなければ、公認会計士になることはできません。
また、たとえ、公認会計士試験に合格することができたとしても、監査を中心とした公認会計士の業務は短期集中で終わらせるプロジェクトは少なく、むしろ膨大な情報からクライアントを理解したうえで、関連する書類同士を照合したり、マニュアル通りに業務が運用されていることを証憑を見て確かめる等地道な作業が大半を占めます。
このため、瞬発的に大きな力を発揮できる人よりもむしろ、コツコツ地道に努力できる性格の人が公認会計士に向いていると考えます。
公認会計士はやめとけ!向いていない人の特徴3つ
①人と話をすることが苦手な人
②数字が苦手な人
③仕事にクリエイティブさを求める人
①人と話をすることが苦手な人
公認会計士という職業において、人と話をするというのは重要なスキルです。
これは、業務を受注する際に求められるだけでなく、監査や税務、コンサルティングにおいてクライアントの業務を理解するうえでも要求されます。
クライアントとのコミュニケーションがうまくできず、重要な情報を聞き洩らすことは業務の非効率を招くだけでなく、重要な決算書の誤りや不正を見落とすことになりかねません。
また、対クライアントだけでなく、同僚や上司・後輩との活発なコミュニケーションも業務遂行上欠かせません。
なぜなら、監査は通常一人でやりきるものではなく、チーム単位で一つの会社の決算書の適切性を検証しているためです。
したがって、人と話をすることが苦手な人にとっては、社内外の多様な人とのコミュニケーションが要求される公認会計士の業務は向いていないと考えます。
②数字が苦手な人
公認会計士は監査・税務の専門家です。
決算書、税務関係書類ともに数字に強くなければ理解することができません。
数字に強い・弱いというのは、学生時代に数学の勉強が得意であったかということとは異なります。
決算書は足す・引く・掛ける・割るの算数でできているので、三角関数や微分積分などは全く使いません。
数字に対する強さというのは物事を数字に置き換えて考える力のことです。
この事業活動は決算書にどのような影響を与えるのか、企業のの活動を数字でとらえ、その活動が財務諸表全体の中でどのような数字的な影響を与えるのかを考えられなければ、公認会計士として、リスクを的確に把握し、監査や税務、コンサルティング業務を行うことはできません。
したがって、数字に置き換えて物事をとらえることができない方は公認会計士に向かないと考えます。
③仕事にクリエイティブさを求める人
公認会計士の独占業務である監査業務は特に何か新しいのもの・サービスを作り出すわけではありません。
監査業務の最終成果品は監査報告書という1~2枚の紙に集約されます。
そして、監査報告書を出すためには地道に監査手続きをして、監査証拠を集めて、という業務が大半であり、その内容は前年度をベースとして、社内のマニュアルに沿って実施することがほとんどであるため、何か革新的な方法があるわけではありません。
クライアントの業務や会計・税務基準は毎年変化がありますが、急にガラッとすべてが変わるというわけではないので、どちらかといえば地道にコツコツ努力する業務が大半です。
よって、新しいのものを作り出すクリエイティブな仕事がしたい人は、公認会計士になってみたら業務が地味で仕事がつまらないということにもなりかねず、公認会計士は向かないと考えます。
やめとけと言われても挑戦したい人へ|公認会計士へ就職する方法
公認会計士になるには?
公認会計士になるには、国家試験に合格後、監査法人や会計士事務所等にて2年以上の実務補助をおこなうとともに、原則3年間の実務補習を受け、修了考査に合格する必要があります。
公認会計士になるための国家試験は短答式と論文式に分かれており、短答式の合格率は10%、論文式の合格率は30%程度で近年推移しています。
合格までは短くとも1年超の勉強時間が必要となります。
現役公認会計士からアドバイス
公認会計士という職業はなるまでに多くの勉強時間が必要です。
また、晴れて公認会計士になってからも常に自己研鑽が求められます。
そして、その業務内容は決して華やかとはいえず、地道にコツコツと机に向かう時間が大半です。
繁忙期には残業も多くなるでしょう。
しかし、それに見合うだけの報酬を得ることができます。
また、公認会計士の業務のIT化・AI化が進むといっても、会計・税務の専門的な知識は幅広く活用できるため、会社が存在する限り、公認会計士のニーズがなくなるということはないでしょう。
繁忙期以外は2-3週間の長期休暇を取りやすいというメリットもあります。
公認会計士となり、一人前に業務をこなせるようになるまでには数年かかりますが、その努力に見合うだけのメリットがある職業だと考えます。
まとめ
公認会計士はやめとけと言われる理由や、仕事内容についてまとめました。
公認会計士は資格取得に高いハードルがあることや、仕事内容が特殊なことで「やめとけ」と言われることもしばしばあります。
確かに、実際の合格率をみたり体験談を聞いたりすると、ネガティブな面も存在していることがわかります。
しかし、公認会計士の仕事はネガティブな面を補えるくらい、やりがいのある仕事であることも確かです。
監査で大企業の決算に触れたり、高い報酬で余裕のある生活ができたりすることも、公認会計士の特徴であることを覚えておく必要があるでしょう。
どんな仕事でもネガティブな面とポジティブな面が存在しています。
仕事選びをするときには、自身の価値観と照らし合わせながら、冷静に検討を進めていくことが大事です。
この記事を参考にしていただきながら、あなたにとってベストな決断を模索してみてください。