介護・福祉

言語聴覚士はやめとけ?向いてる人・向かない人の特徴

言語聴覚士に向いてる人

「言語聴覚士」の仕事内容を皆さんはご存知でしょうか?

「言語聴覚士」という職業について、テレビや雑誌・ビジネスシーンなどで見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。

「言語聴覚士」の仕事内容や仕事のやりがい・つらいこと・向いてる人の特徴・なりかたなどを知っていないと転職活動ができません。

今回は、現役で「言語聴覚士」として活躍されている方に、インタビューのうえ、実体験を踏まえて根掘り葉掘り聞いてみましたので、これから目指そうと考えている方の参考になることでしょう。

言語聴覚士の仕事内容と給料

仕事内容

一言で言えば首から上全般のリハビリテーションを行います。

ことばを話すこと、聞くこと、頭で理解すること、物事を考えること、食事を食べることなどです。

言葉や飲み込みなど日常生活に関わる問題の本質や原因を検査や評価によって明らかにし、検査や評価の結果から必要な訓練、指導などを行い、その人がその人らしく生活できるよう支援します。

耳が聞こえない方に対しては補聴器や人工内耳の提案や他者とのコミュニケーションの取り方を一緒に考えたり、構音障害と呼ばれる話し方の障害に対して正常に近付ける訓練を実施します。

発達障害に関することばの発達の遅れも言語聴覚士の専門です。

また、脳梗塞や脳出血などの病気や交通事故による脳の損傷で生じる失語症などの言語機能障害や高次脳機能障害(注意障害、記憶障害、遂行機能障害など様々)な障害と食事の飲み込みに関する摂食・嚥下障害に対してのリハビリを実施します。

全てのリハビリは言語聴覚士が単独で行うものではなく、医師を中心として看護師、医療専門職、ケースワーカー福祉専門職、心理専門職、家族などと連携して行います。

給料

病院であれば300~400万円程度、介護施設では400~500万円程度です。

地域や病院の規模などでかなり差が出ます。

言語聴覚士の仕事のやりがい

脳梗塞で入院してきた時には意識障害があり、会話もほとんど出来ないような状態だった患者さんが少しづつ回復し、食事を摂れるようになってきたり、失語症でコミュニケーションがなかなか取れない状態の方と毎日リハビリをするうちにコミュニケーションが取れるようになったりと、患者さんが元の生活形態に近づくなど入院時と退院時で成果が見られた時にやりがいを感じます。

食事を摂っていない状態から食事を摂る間には、評価から始まり毎日の嚥下反射訓練や少量ずつの摂食嚥下訓練、食事形態の調整など、たくさんの段階があります。

言語訓練や高次脳機能訓練もいくつかの検査を実施し、その結果を評価して何が問題でどんな風にしたらその問題が解決されるのか、どんな訓練をすべきか、その問題は日常生活にどのような影響を及ぼす可能性があって、どんな風にしたらサポート出来るのかなど、複雑な思考が要求されますが、自分の評価で患者さんの問題の本質を見付けられた時はとても嬉しいです。

言語聴覚士の仕事で辛いこと

一番辛いことは、退院までの間に患者さん本人やご家族が希望するレベルの回復が見込めない時です。

訓練で回復できるものであれば、どうにかそのレベルまでもっていってあげたいと思いますが、病気の重症度によっては出来ないことも多々あります。

口から食事を摂れなければ、経鼻チューブで直接胃に食事を入れるか、胃ろう手術で栄養を摂取するしかなくなってしまい、食事する楽しみがなくなってしまいます。

重度の失語症で家族など他の人とのコミュニケーションが取れない場合には、患者さん本人のストレスはかなりのものになります。

どちらも可能な限り、少しでも改善するように努めますが、このような時には自分の力不足とやるせなさを感じます。

基本的には言語聴覚士個人の判断ではなく、評価をもとに医師が最終判断をすることになりますが、嚥下に関しては言語聴覚士の評価がかなり重要となってくるので、厳しい評価結果となった時はつらい気持ちになります。

言語聴覚士へ向いている人の特徴3つ

向いてる人の特徴
  1. 「どうして」を考えるのが好きな人
  2. 毎日コツコツやるべきことを積み重ねられる人
  3. 人と関わるのが好きな人

①「どうして」を考えるのが好きな人

1つの症例に対して、複数の検査をして、それぞれの評価だけでなく、全ての検査結果を踏まえて、原因となる要因を導き出す、訓練の効果があったのか評価するということを患者さんと接している間に何度も繰り返していくことになるので、ちょっとした「どうして○○なんだろう?」という気付きがとても大切になってきます。

検査結果が悪かったことだけでなく、出来ていることにも目を向けたり、検査では出来ないけどこんな場面では似たようなことが出来ているなど、検査結果だけにおさまらず、知的好奇心を持っている人が向いている人だと思います。

様々な患者さんと毎日接していると、「あの時はこうだったな、この人はどうだろう」と以前考えたことが、次の患者さんの役に立ち、その繰り返しで経験を積み重ねていくことで、より患者さんに寄り添ったリハビリを行うことが出来ると思います。

②毎日コツコツやるべきことを積み重ねられる人

リハビリは毎日同じようで違うことの繰り返しです。

60分や20分など限られた患者さんとの時間の中で、今日の調子の確認、変化はないか、訓練の実施、訓練内容の評価などやるべき内容は同じように見えますが、患者さんの状態は毎日少しずつ異なりますし、リハビリ内容も毎日同じものばかりでは単調となるため、評価しながら、あれはどうか、これはどうかと試行錯誤しながら、患者さんの機能改善を目標に訓練を実施します。

しっかりとコミュニケーションが取れる相手であれば、相手のリアクションがわかりやすいので、こちらも様々な方法を出しやすいですが、重度の意識障害でリアクションのない患者さんのリハビリをすることもあります。

そんな時でも目的を忘れることなく、自分がすべき評価や訓練を毎日コツコツと積み重ねていくことの出来る粘り強さのある人が向いていると思います。

③人と関わるのが好きな人

言語聴覚士が対象とする患者さんは小さな子供から自分の祖父祖母よりも年配の方までさまざまで、なおかつ性格も病気もそれぞれ異なります。

人間と人間なので自分にとってやりやすい相手ややりにくい相手など出てくると思うので、人と関わることが好きな人でないと嫌になってしまうかもしれません。

苦手な相手でも、何かきっかけがあって話しやすい相手に変わるかもしれないですし、苦手に感じている原因も様々です。

自分が苦手な雰囲気を出していたり、おどおどしていて不安をあおってしまっていたり、実は自分でなく入院生活事態に不満を感じているだけかもしれません。

訓練は自分と患者さんだけでは成り立たず、看護師さんや他の医療職種、家族などと積極的に関わって、自分や患者さんにとってより良い訓練環境を作り出せるように努力する必要があると思います。

言語聴覚士へ向かない人の特徴3つ

向かない人の特徴
  1. 飽きっぽい人
  2. 自発的に動くのが苦手な人
  3. 勉強することを楽しめない人

①飽きっぽい人

先に挙げたようにリハビリは毎日コツコツ訓練を繰り返していくことが大切です。

毎日の訓練をする中で、訓練と評価からよりよい方法を探し続けることに飽きてしまうと、訓練内容の発展も患者さんの回復も横ばいになってしまいます。

言語聴覚士が探求することに飽きてしまうことは患者さんにとって不利益となるため、毎日の訓練を何気ないものではなく、お互いにとって有益なものにしていく必要があります。

せっかく患者さんと関わるのであれば、少なくとも言語聴覚士自身は飽きることなく、患者さんのために何が出来るのか、今している訓練は目的に沿っているのかなど、飽きることなく考えていける人が望ましいと思います。

考えることに飽きてしまうとだんだんと訓練も単調になり、患者さんにも伝わってしまうので、そうならないためにも飽きっぽい人は日々の訓練の中に楽しみを見つけるなどの工夫が必要になると思います。

②自発的に動くのが苦手な人

訓練は医師からの指示でスタートし、患者さん本人やご家族の希望を聞いてスタートします。

評価や訓練が始まれば、周りの多職種との連携はあっても、担当言語聴覚士としての責任を負わなければなりません。

自分の評価1つで理学療法士や作業療法士、看護師の患者さんへのかかわり方が変わったり、退院後の生活も変わってくるかもしれません。

そのため、自分の検査はもちろん、日常生活場面では患者さんはどんな活動をしているのか、何に困っているのか、周囲の人はどんな風にサポートしていてそれは負担ではないのかなど、検査訓練を行っている言語聴覚室から出て、自発的に情報収集したり、訓練に対しても「ちょっとこんなことを試してみたい」と自発的に訓練内容を考えて動いていくことがとても大切だと思います。

評価も訓練も初めのうちは先輩たちが助けてくれるかもしれませんが、自分から動かないと自分の経験値にはならないと思います。

③勉強することを楽しめない人

リハビリテーションに限らずだと思いますが、臨床の現場では本当に勉強の毎日です。

不十分だった知識を補うなど教科書で学ぶこともとても大切ですが、実際の患者さんを前にしたときに評価や訓練をしながら学ばせてもらったり、他職種の人から学ばせてもらうこともとても多いです。

言語聴覚士としての基礎の知識は学校でやってきましたが、臨床の現場では不十分です。

学会に参加したり、地域の勉強会に参加したり、院内の勉強会も月に何度も開催されています。

すべてに参加する必要はありませんが、勉強しつづける努力はとても大事だと思います。

日常生活でもベッドから車いすの移乗や歩いての移動、トイレなど日常生活のひとつひとつが患者さんにとっては全て訓練につながってきます。

訓練場面で出来ても、日常生活に活かされないと意味がないからです。

そのため自分が必要なものを考え、理学療法士に移乗動作を教えてもらったり、楽しく勉強を続けられる方が有利だと思います。

言語聴覚士へなるには?

言語聴覚士になるは、法律で決められた教育課程で勉強したのちに国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受ける必要があります。

教育課程としては高校卒業後に大学や専門学校で言語聴覚学科を選択することが多く、一般の4年制大学を卒業した場合には指定された大学・大学院の専攻科または専修学校で2年間専門知識を学びます。

学校での専門的知識の授業のほか、実際に病院や施設で1~2ヵ月ほどの臨床実習も行われます。

言語聴覚士になるための学部学科が設置されている大学は全国でも30校未満で、他のリハビリテーションに比べるととても少ないです。

また、年に1度2~3月に国家試験が実施されますが、こちらの合格率も50~60%で他のリハビリテーションに比べると狭き門となっています。

国家試験の合否判定が3月末に出るため、資格を見取得のまま、受験勉強と並行して就職活動を行うことになります。

就職先は成人専門や小児専門、聴覚系、高次脳機能障害系、嚥下系など自身の希望する専門により病院、介護施設、市職員、学校等様々ですが、病院が大半を占めます。

さいごに

学校での勉強や、特に実習はとても大変に感じますが、臨床に出てからの方が勉強漬けの毎日です。

でも不思議と就職してからの方が楽しい毎日を送ることが出来ています。

患者さんを始め、様々な職種と関わり、自分で評価して患者さんと訓練しながら退院後の生活を一緒につくっていくことはとても有意義で楽しいです。

まだまだ認知度の低い言語聴覚士ですが、とてもやりがいのある楽しい仕事です。

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