介護・福祉

『社会福祉士は需要がない』は本当か?【現役が解説】

社会福祉士に需要がない
  • 社会福祉士を目指しても、肝心の就職先は、ちゃんとあるのかな?
  • 時間と労力をかけて、ムダになってしまわない?

これから社会福祉士を視野に入れる方は、こうした不安を、お持ちではないでしょうか。

なお、この記事を書く私ですが、2013年に社会福祉士となり、7年間の実務経験があります。

実際の現場を見知ってお伝えしていますので、冒頭の疑問について、明確にお答え出来ると思います。

悩みあるところ社会福祉士アリ

あまり知られていませんが、実は社会福祉士ほど、分野の広い職業はありません。

およそ「福祉」に関連する、すべてが範疇となる、お仕事だからです。

この社会に介護、障害、病気、貧困・・。

こうした悩みがある限り、社会福祉士は、求められ続けます。

その中でも特に、ニーズの多い分野について、噛み砕いてお伝えして行きます。

①高齢者の支援

最近、介護の需要が増え続けているニュースを、よく耳にしないでしょうか。

社会福祉士も、支援の中心的存在として、活躍します。

例えば、介護計画の根幹となる「ケアプラン」は、ケアマネージャーが作成しますが、社会福祉士も要支援認定を受けた方の、ケアプランを作ります。

高齢者の福祉というのは、サービスの種類も事業所も、本当に多種多様です。

主な事業だけでも、ホームヘルパー、訪問リハビリ、デイサービス、老人ホーム、福祉用具、住宅改修(自宅をバリアフリー化)などがあり、さらに同じ事業でも、特性が違います。

そのうえ、上記の基盤となる介護保険は、とても複雑な制度です。

プロであっても、つねに情報を得て行かなければ、全容を理解できません。

ましてや、一般人である利用者の方は、どうでしょうか。

介護が必要で困ったとき、何を、どのように利用して良いか、分からなくて当然です。

そのような時、最初に相談できる存在が、社会福祉士です。

利用者の悩みに耳を傾け、状況を整理し、必要に応じて、福祉・医療サービスへ繋げます。

また、今お元気な方であっても、末永く望む生活が送れるよう、介護予防の事業も行います。

福祉の町づくりを目的に、運動教室や趣味サークルを、立ち上げる事もあります。

認知症への理解を広めるため、公民館・企業・学校に赴き、認知症サポーター講座を開催する事もあり、地域の状況に応じ、様々な活動を手がけます。

②メディカル・ソーシャルワーカー

現状、多くは大病院を中心に、配属されています。

例えば『退院日は決まったけど、戻ってからの暮らしが不安。

』『転院先について、説明して欲しい。

』といった、患者の悩みに対し、相談に乗ります。

また路上で倒れて、救急車で運ばれたものの、財産も身寄りもない方であった場合、病院は困ってしまいます。

そうした場合に、福祉の制度で、サポートする事もあります。

さながら病院の「なんでも相談屋」といったイメージで、つねに患者と医療の、橋渡し役となります。

③成年後見人(せいねんこうけんにん)

いま日本では、認知症などが原因で、ご自身の財産管理が、出来なくなってしまう方がいます。

具体的には、ATMの操作が出来ない、通帳や印鑑を無くしてしまう等です。

これでは暮らしが、成り立たなくなってしまいます。

また詐欺や、営業のターゲットとなる現状も、深刻です。

そのような時、ご本人に代わり、財産管理を行うのが、成年後見人です。

専門職としては弁護士・司法書士・社会福祉士が担います。

また、今は認知症でなくても、もし先々そうなってしまった場合、自身の財産管理を託すといった、未来系で任命されるケースもあります。

④ケースワーカー(生活保護)

ケースワーカーとして、お金に困窮する方の相談に乗るのも、社会福祉士です。

一般的には、病気(精神的なものも含む)やケガで働けず、暮らせないといった、お悩みが多いです。

また家庭の事情(DV・片親・虐待など)で、経済的に困難など、事情は多岐に渡ります。

生活保護法に基づき、暮らしを支えるサポートを中心に、折に触れて訪問し、現状や将来について相談も行います。

経済的な問題は、病気や介護のお悩みに、結びついている場合も多いです。

そのため、しばしば他分野と連携し、支援を行います。

増えるスクールソーシャルワーカー

いま日本の学校において、いじめ、発達障害、家庭環境といった、様々な原因から、苦しむ子ども達が、増えている現状があります。

これらは生徒だけ、親だけ、先生だけといった問題のみならず、様々な要因が、複雑に絡み合っているケースが多いです。

そのため、広い視点で全体を見渡し、働きかける社会福祉士が、必要とされています。

スクールカウンセラーと共に、まだ全体としては少数ですが、配置する自治体は増えています。

ニーズと認知度の高まりに伴い、この流れは、今後も拡大して行く見通しです。

想いや困難を理解する存在

日本は、世界一の高齢化社会となりました。

それに伴って、介護サービスは大きく発展し、福祉用具などの改良も、目覚ましいです。

しかしサービスの良し悪しと、人間の想いは、また別物です。

ご本人が、拒否されている場合や、利用を開始しても、合わないケースもあります。

また身体が悪くて動けない方や、切羽つまって混乱している人ほど、役所へ申請には行けません。

すべての制度は、追いつめられている方へ届き辛く、そこを橋渡しする存在が、必要となります。

なお、ここまで社会福祉士の役目をお伝えしましたが、これらはわずかな一例です。

福祉には児童支援、障害者支援、受刑者支援など、他にも多岐に渡ります。

また公的な法人だけでなく、民間の事業所で働く事もあります。

このように、福祉に関するあらゆる場所で、社会福祉士は求められています。

あまり社会福祉士と名乗らない

社会福祉士は、おもに欧米でメジャーな職業です。

しかし日本においては、まだ創設されて新しく、一般には知れ渡っていません。

そのため名刺には書くものの『社会福祉士です』と、積極的に名乗らない場合も多いです。

相談者に分かりやすい方が良く、私も『ケアマネージャーさん』と呼ばれても、あえては訂正しませんし(実際ケアプランも作りますし)シンプルに『相談員です』と、名乗ったりしています。

あまり耳にしない分、特殊な職業と見られる事もありますが、実はあなたの町においても、社会福祉士は大勢います。

社会福祉士のニーズは無くならない

社会福祉士は分野の広さ、必要性の大きさから、この先も需要が無くなりません。

それとは裏腹に、介護福祉士と混同されるなど、まだまだ一般の認知度は、高くない資格です。

人手が足りない現場も多く、その上、スクールソーシャルワーカーのように、新設も増えています。

専門性の高さから、誰でも担当できるわけではなく、同じ福祉と言えど、分野が違えば、
相談内容もまるで変わります。

そうした点も相まって、これから、ますます求められる専門職と言えます。

『社会福祉士は需要がない?』まとめ

ここまで、社会福祉士のニーズや役割について、お伝えさせて頂きました。

まとめると、以下のようになります。

記事のまとめ
  1. 福祉のあらゆる領域にまたがる
  2. 認知度は高くないが、じつは地域に大勢いる
  3. 人手不足で、ニーズはこれからも増え続ける

ここまで専門職の目線でお伝えしましたが、今ご覧のあなた自身も、生活や暮らしに困った時には、ぜひ社会福祉士を頼って下さい。

そして、たとえ活躍する地域や分野は違えど、新たに目指す方が増えたら、とても嬉しいです。

ABOUT ME
原田 ゆきひろ
■歴史・文化ライター、取材ライター、社会福祉士。 ■東京都在住。高齢者の生活相談や、福祉の町づくりに携わる。 ■本業の傍らライター活動を行う。何ごとも自らとびこみ、表現する文章をモットーとしている。
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