グランドハンドリング(航空地上ハンドリング)というお仕事を知ってますか?
海外が好き、飛行機が好きなど、空港で仕事をすることに憧れている方は、グランドハンドリングという仕事に興味を持つ方も多いでしょう。
今回は、グランドハンドリングとして8年勤務された方に、グランドハンドリングの仕事内容や向いてる人の特徴・グランドハンドリングになるには何をすれば良いかインタビューしましたので、これから目指そうと考えている方の参考になることでしょう。
グランドハンドリングの仕事内容と給料
仕事内容
空港における、航空会社国際線の旅客地上ハンドリング業務。
また、日本の大手航空会社が受託する外国航空会社の同業務も担当します。
仕事内容は沢山ありますので、以下羅列となります。
- チェックインカウンターでのチェックイン、手荷物預かり、旅客誘導、航空券予約・発券。お問い合わせ対応。
- 搭乗ゲートでの誘導、アナウンス、乗務員との打ち合わせ、コントローラーとの連絡・調整、アナウンス対応。
- 到着ゲートでの乗務員からの引継ぎ、旅客誘導、入管書類を税関、入管、検疫へ配布。
- 税関エリアでの荷物トラブル対応、忘れ物捜索、紛失荷物の登録、捜索。
- 入管エリアでの旅客誘導、乗り継ぎ旅客の誘導、捜索、乗り継ぎチェックイン。
- 前日に翌日便のプリパレーション。シートアサイン、ミールオーダー。
- 外国航空会社担当者との連絡・調整、多言語アナウンス。
- 使用端末ごとの研修、業務ごとの研修。
- 後輩の指導(1対1でお世話係になる)、研修インストラクター、OJTインストラクター。
- 到着便遅延時のバス、ホテルへの誘導、振替便のご案内。
年収
勤続年数8年で、年収は280万円前後です。
グランドハンドリングの仕事のやりがい
飛行機に乗る際に、チェックインして搭乗、到着、荷物の引き渡しまでの様々なポイントに配属され、航空会社の係員としてご案内します。
飛行機が好きな方、接客が好きな方にはとてもやりがいのある仕事です。
空港は広いし時間に追われる仕事なので、時には空港の隅から隅まで走らなければいけないこともあります。
早朝~深夜まで稼働しているので、30分ごとに出勤時間が設定されており、早番、遅番、休みの3パターンでもちろんカレンダー関係なく年中無休の業務です。
不規則ですし、かなり体力も必要とされますが、チェックインしたお客様が搭乗され、無事に荷物もミールも搭載されて時間どおりに出発していく飛行機を見送る時が一番うれしい瞬間です。
国際線ですと、英語も必要となりますし、いろんな国のパスポート、ビザも見て、そのビザが適正なものか、条件は何か、チェックイン時に調べたりすることも必要になります。
海外に興味があるとなお楽しい仕事です。
楽しいことも、トラブルも、本当に日々様々な経験がありますが、すべてが良い経験となるはずです。
グランドハンドリングの仕事で辛いこと
好きで入った業界でしたが、やはりつらいのはお給料はあまりよくはありません。
不規則で体力も必要な割には見合っていないかなと思います。
なのである程度若い間に働いて、経験を積んで退職する方も少なくはないと思います。
私もその一人でした。
しかし憧れて入ってくる方は多いので、入れ替わりは速い業界だとは思います。
お給料は少なかったですが、空港へ通いやすい場所に借り上げ社宅や寮があり、私は寮に家賃2万円で住んでいました。
寮に住んでいる先輩や同期たちと仲良くなれるというメリットはありました。
また、電車がない時間帯の早朝出勤や深夜帰宅時には、バスやタクシーが利用できますのでそれは楽でした。
ただし、寮や社宅は、そういう若い女性が多く住んでいるということが近所では有名だったようで、変質者に出会うことも問題でした。
私が退職することを考えるようになったのは、お給料のこと、ずっと寮に住み続けるのかということ、変質者に何度か出会って嫌な思いをしたことからでした。
今は改善されていることを願います。
グランドハンドリングへ向いている人の特徴3つ
- 笑顔が素敵・笑顔で接客できる方
- 展開を予測して行動できる、機転が利く方
- 体力がある方
①笑顔が素敵・笑顔で接客できる方
基本的なことではありますが笑顔で接客、はおそらく一番大事なことだと思います。
就職試験、面接の際にも重視されることだと思います。
そのために笑顔の練習はしていました。
業務内容は本当にいろんな業務があって、もちろん接客ばかりではありませんが、お客様への対応時だけでなく、仲間同士でも笑顔で明るく、楽しく仕事できることが必要です。
ほとんどが女性の職場ですので、明るく楽しい雰囲気はとても大事です。
転職し、他の職場で働き始めてから、どれだけ雰囲気が良い職場だったかと再認識しました。
また、そんな雰囲気の良い職場はなかなかないのだなとも改めて思いました。
航空関係というと、見た目の美しさももちろん大事ですが、心からの笑顔が美しい方は強いはずですし、この職業の経験者が他の仕事、職場でも重宝されることがその証拠だと思います。
②展開を予測して行動できる、機転が利く方
先の展開を予測して行動できる、機転が利く方。
実は私はこれがあまり得意ではないと思っていてそれがコンプレックスでもあります。
今でも気が利かない人間だと思っています。
ですがこの職業においてはそれが必要だと感じていました。
毎日の仕事で、何百人のお客様を相手にしていて、天候にも左右され、時には飛行機の不具合もありうるわけで、毎日同じ展開ではありません。
トラブルも多いので、現状を瞬時に把握して自分は次に何をしたら良いかを先輩に指示される前に自分から動けることは非常に大事だと思います。
そしてきっと、そういう方は出世していけるのだと思います。
とにかくあり得ないトラブルも多かったので、経験を積んでいくことも必要ですが、あり得ないトラブルにも動じずに、臨機応変に対応できる方にはとても向いている職業だと思います。
③体力がある方
体力は、本当に必要です。
稼働時間が長いので、チームが大きく3つに分かれていて、早番、遅番、休みのパターンを2日ずつ繰り返すパターンで就業します。
私が勤務していた頃は早番の最初は午前4時、遅番の終業は深夜1時でした。
そんなに不規則なので、それに対応できる体力、また、出発時間が決まっているし到着便のドアオープンに立ち会って乗務員から引継ぎをうけなければお客様を降機させられないので、到着便に間に合うようにゲートに行かなければならず、前の便が遅れたりしていて非常に時間がタイトだと猛ダッシュで移動しなければならないこともしばしばありました。
空港は広いし、ゲートでは立ちっぱなしなので、一日の歩数ははかったことはありませんが毎日足はパンパンでした。
それに耐えうる体力、日ごろからの体調管理はとても大事です。
グランドハンドリングへ向いていない人の特徴3つ
- チームワークができない方
- 勉強することが嫌いな方
- 体力に自信のない方
①チームワークができない方
1つの飛行機を出発させるだけでもおそらく何百人の職員が関わってやっと出発することができます。
チェックイン時にもし自分がミスをしてしまったら、搭乗ゲートの職員にお客様をお呼び出ししてもらって処理してもらったり、荷物の搭載担当者に連絡して荷物を探してもらったり、何人にも迷惑をかけてしまいます。
自分ひとりでは成立仕事ではないので、まずミスをしないようにすることも大前提ですが、誰かがミスをした際にも責任をもって処理でき、連絡、報告することが大事になります。
まずミスをしない、迷惑をかけないことも大事ですが、誰かのミスも補える、お互いにチェックすることも大事です。
対お客様だけでなく、一緒に働く仲間と協力しあって一つの便を出発させる、または到着させるという仕事なので、チームワーク、協調性がない方には向いていない職業です。
②勉強することが嫌いな方
この仕事につくことになったら、退職するまでずっと勉強することになります。
まず最初に端末を使った研修(訓練といいますが)が1か月くらいあり、航空会社によって使用する端末が違うので、外国航空会社を担当することになるごとにその端末の研修が必要です。
また、航空法をはじめ、さまざまな法律による制限があり、それも改正されていくので日々勉強しなければなりません。
どこの国の人が別の国に行くにはどんなビザが必要か、その他の条件は何かなど、チェックインするごとに調べてスムーズに手続きをしなければなりません。
人のパスポートをたくさん見るので、出国する人も期限は大丈夫だったか、チェックして時には入国管理局や警察に引き渡すこともあります。
自分がそこで気づいていなければあとで問題になることもあり、本当に様々な方面の勉強が必要です。
③体力に自信のない方
向いている人のほうでも書きましたが、本当に体力勝負の仕事です。
そもそも健康であることも必要ですが、激務をこなしながら毎日の体調管理をしっかりできることも必要です。
最近は飛行機を利用する方は減っていると思うので、今はわかりませんが、だいたい人手が足りない状態が多かったので、なかなか休むということもできませんし、体調を崩しながら勤務するのはもっとつらいです。
また、私は国際線勤務だったのでインフルエンザ、SARS、MARSなどウイルス性の病気が流行った時に、海外から来た方と接触して隔離(出勤停止)ということもあり、そういった病気になる可能性もあるということを承知されていた方が良いともいます。
私も原因がわかりませんでしたが、謎の高熱が4日間続いて1週間休み、体調不良が1か月ほど続いたことがありましたが、インフルエンザとは診断されませんでした。
グランドハンドリングになるには?
就職活動する前から業界を絞っていたので、業界誌「エアステージ」等を購読して求人情報や試験内容、会社情報などをチェックしていました。
HP等もチェックして求人が出たら応募しました。
スクールに通う方もいますが、私は通わず、自分なりの就職活動でした。
大手航空会社であっても空港ごとにグループ会社、子会社化しており、それぞれで募集されるので、私は関西ベース、福岡ベースを中心に応募しました。
応募書類に添付するプロフィール写真は、航空会社受験生がよく利用する写真館(エアステージなどで紹介されています)で撮影してもらい、背景をスカイブルーやグレーにするなど、航空会社ごとに雰囲気も変えました。
接客が好きなこと、体力には自信があること、そして何より笑顔でアピールすることが大事だと思います。
飛行機が好き、海外が好き、などあこがれるかたは多いと思います。
私もその一人でした。
実際働いてみて、本当に楽しかったし同期や先輩は退職した今でも大事な仲間という感覚です。
本当に毎日が事件並の様々な経験ができ、大変な業務ではありますが絶対に良い経験になります。
ぜひ、トライしてほしいと思います。