公認心理師とは、日本初の心理に関わる「国家資格」です。
相談者の面接や観察を行い、一緒に解決策を考えながら相談・援助をし、必要に応じて相談者の周囲に働きかけます。
また、心の健康に関して知識や情報を発信・提供することもあります。
公認心理師の給料は臨床心理士と同じくらいで、300万円~400万円と言われています。
フルタイムではなく、パートや派遣社員として働いている場合は、時給1000~2000円ほどになります。
臨床心理士との違い
臨床心理士は「民間資格」になり業務内容は似ていますが違う点があります。
公認心理師は、心の健康に関する知識の普及するための情報提供を行うのに対して、臨床心理士には自らの知識・スキルを高めるための研究職としての役割が求められます。
心理系ではじめての国家資格
公認心理師は、国家資格であるという点で大きな安心感があります。
国家資格に合格することは、専門性の高い知識や技能を国から認めてもらえます。
就職先においては、公認心理師の有資格者が優遇される可能性があります。
常勤であれば、ひとつの職場で働くことになります非常勤であれば複数の職場で働くことができます。
例えば、週に3回はスクールカウンセラー、後の2回は病院で働くことができ経験を積むことができます。
様々な領域で経験を積みながら、やりたい仕事を模索できます。
学校勤務の場合
スクールカウンセラーとして学校などの教育機関で働く場合、年収は約220万~560万円です。
多くのスクールカウンセラーは非常勤で時給5000円程度と高い傾向があります。
月給は15万円~20万円が多く、年収は240万が相場です。
スクールカウンセラーは、週に2日、3日だけ出勤する非常勤での雇用になることが多いのが特徴です。
複数の学校を掛け持ちしながら働いているスクールカウンセラーがいます。
病院・クリニック勤務の場合
総合病院の精神科や心療内科、メンタルクリニックで働く公認心理師の給料は、一般的に年収300~500万円ほどになります。
場合によっては、病院で当直したり、夜遅くまで営業しているメンタルクリニックで夜勤をしたりすると、残業代がつくので収入が高くなります。
児童相談所勤務の場合
児童相談所の心理職で公認心理師は、児童心理司と呼ばれます。
児童心理司は、仕事内容として相談者の問題行動、症状の軽減・改善のための心理療法(カウンセリング・遊戯療法・家族療法)をします。
また、療育手帳の交付・更新や相談業務があります。
児童への関わり方を知るために知能検査・発達検査・人格検査を実施します。
発達相談や障害相談、継続的な心理面接などもします。
子どもや知的障害の方、保護者の方と関わる機会が多い仕事です。
児童心理司は、常勤でれば地方公務員として勤務することになります。
年収は、約362万円程度になります。
課長クラスになると約1014万円程度と上がる可能性があります。
また、臨時職員として採用された場合は、日給が約9000円程度になります。
その理由は、資格が特に必須ではないというところにあります。
企業や施設で働く場合
民間の社会福祉施設(児童養護施設、障害者福祉センター、老人ホームなど)でソーシャルワーカーとして働く場合、施設によって給与は大きく変動します。
年収は、約300万円~400万円ほどあります。
産業カウンセラーとしての立場では、例えば企業のストレスチェックに関わる業務、心理職以外では営業まで多岐にわたることがあります。
平均約26万円で、平均年収が約421万円になります。
少年院勤務の場合
公認心理師で少年院に勤務したのであれば、公務員になり法務技官になる必要があります。
法務技官になると、少年鑑別所や少年院などで勤務することができるようになります。
主な仕事は、心理検査や面接、心理療法などを活用した再発防止です。
法務技官とは、非行や犯罪をした人に心理学的な観点で働きかけます。
「心理技官」や「矯正心理専門職」とも呼ばれます。
少年鑑別所では、面接や心理検査などを使ってアセスメント(見立て・査定)を行います。
少年の個性や非行までのいきさつを調べ、適切な対応を検討します。
地域援助活動として、親や教師など子どもの振る舞いに悩む人からの相談にものることがあります。
刑務所や少年刑務所などの刑事施設では処遇方針を検討する他、受刑者へのカウンセリングや改善のためのプログラムを行います。
法務技官になると、月額の平均給与約41万円になります。
ボーナスも含め年収にすると平均約680万円になります。
心理職である法務技官のやりがいは、法を犯して特殊な状況に置かれた少年が立ち直っていくことに自分の専門性で貢献できるということです。
放課後デイサービス勤務の場合
公認心理師として、放課後デイサービスで働く場合は、知的障害や発達障害をもつ児童の評価や訓練の業務があります。
また、利用されている児童の保護者に対して育児相談もあります。
場所によると、療育プログラムを立案し、保育士や指導員へのアドバイスをすることがあります。
平均月収は、約22万円程度である。
また、平均年収は約400万円程度といわれています。
開業して働く場合
独立して開業する場合、講演やコーチングなどの実績を積むと、年収1000万円稼げると言われています。
公認心理師の有資格者は、「施設相談臨床」という形をとって、自ら独立開業することができます。
開業している人は、非常に少ないですが、実際に豊富な臨床経験や高いレベルでの専門知識が求められます。
まずはどこかに公認心理師として勤め、経験を積み重ねたうえで開業するのが一般的です。
成功すれば、高い収入を得ることができます。
まとめ
常勤で安定な年収を選ぶ人は、公務員を目指す!
上記のように、心理学を活用し安定した収入を目指す人は、公務員になり心理判定員や少年院での勤務をおすすめします。
公務員試験は、難しいですが頑張って合格すれば安定とやりがいがついてきます。
公認心理士試験、公務員試験、採用試験と勉強しなければなりません。
・求人が多い業種は何か?
求人サイトでは、常勤で放課後デイサービスの募集が圧倒的に多いようです。
放課後デイサービスは、児童を見るだけではなく、療育を通して専門家の助言や評価が必要になっています。
児童の療育支援では、公認心理士の需要が多く年収も高い求人を多く見ることがあります。
クリニックや児童相談所の募集は、非常勤が多く時給で平均約1800円程度と言われています。
最近の傾向としては、公認心理師の非常勤の掛け持ちが多く年収より経験を積む人が多いです。
公認心理師食えないのか
その理由として上げられるのが、正社員になるのが難しい、年収が高くない、公認心理師になるまでが大変などがあげられます。
公認心理師は、増えていますが、様々な職場において少数で十分なところが現状です。
例えば、スクールカウンセラーも都道府県に一定数が登録されて、各学校に週一回、月二回と間隔で巡回するのが現状と言えます。
需要と供給がミスマッチしており、公認心理師になったが、正社員になれなかったという人もいます。
非常勤を掛け持ちし、個人で稼ぐ工夫が必要になることも頭にいれておいた方が良いです。
公認心理師の可能性
公認心理師は、2018年に設置された新しい心理系の国家資格です。
公認心理師として雇用形態や給与などの待遇面、業務領域や実際の活躍の場が未知数のためはっきりしていないのが現状です。
公認心理師は、特別措置として看護師やスクールカウンセラーなど特定の実務経験を積んだ方もなることができます。
つまり、学校などで学ばずとも公認心理師になれるため、知識が乏しい方も増える可能性があります。
知識を常にアップロードし、他の公認心理師と差別化を図ることで将来性を広げることができます。
また、臨床心理士の資格を取ることをおすすめします。
臨床心理士は、公認心理師の業務内容はほぼ同じです。
臨床心理士は、公認心理師にとって職場を奪い合うライバルになる可能性もあります。
他の公認心理師だけではなく、臨床心理士とも競合できるようにするために、臨床心理士の資格を習得しておくことが望ましいと言えます。
今後、公認心理師の業務の一部が診療報酬の対象となります。
病院などで公認心理師の需要が高まる可能性があります。
診療報酬の関係から保健医療分野で公認心理師が求められるようになってきます。
保険医療分野以外の分野でも、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働などがあります。
心理系の仕事をつくためには、公認心理師の資格を持っていないと採用や転職の際に不利になってきます。
収入を上げるためにはどうしたら良いか?
2021年は、公認心理師の有資格者は高く評価され、給料や待遇面も良い条件で働けることが増えると期待されています。
さらに収入を上げたければ、臨床経験を積み重ねて自分の専門性を磨くことです。
教育機関や病院、企業では、優秀な公認心理師を求めています。
児童の療育分野で経験が豊富、スクールカウンセラーとして知識を誇るなど個人の強みを作る必要性があります。
また、経験を積むことで収入につながります。
公認心理師は、依頼者と向き合い、抱えている心の問題を解決するために話を聞き、助言や指導をします。
心の問題は類似するものの、人によって傷の深さは違います。
見極めるのには、経験が必要になります。
経験を積めば積むほど問題の度合いや傷の深さが分かるようになり、適切な助言や指導ができるようになっていきます。
公認心理師として、経験が長くなればそれに比例して収入も上がっていきます。
公認心理師の経験を活かして、心理学の知識のノウハウを本として出版することができる。
自らの経験やノウハウを活かして作家として活躍する人もいます。
書籍出版することは、公認心理師の役割の一つである、心の健康について情報発信・提供と深く関わるため良い活動と言えます。