「企業型の確定拠出年金ってやめとけって言われるけどどうしてなんだろう?」
老後などに向けて確定拠出年金を検討しているけれど「企業型」と「個人型」って一体何が違うのか。
また、企業で確定拠出年金の制度があるのなら、企業型を利用したほうが手軽そうだし良いのではないか、などどちらのほうが良いのか悩む方や、違いがわからない方は多いでしょう。
そこでこの記事では、企業型確定拠出年金は本当にやめたほうが良いのか、企業型と個人型の違いはなんなのかなどをご紹介します。
企業型確定拠出年金を検討している方や、実際に運用を始めているけどなにに気を付けたほうが良いのか知りたい方は参考にして下さい。
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確定拠出年金の「個人型」と「企業型」の違い
確定拠出年金の個人型と企業型は、どちらも老後のための備えですが、個人型は自分で老後に備える制度、企業型は退職金として支払われる制度となります。
個人型と企業型の主な違いは、以下のようになります。
個人型確定拠出年金
- 自分で加入することを決め、任意で始めることができる
- 金融機関も自分で選ぶことができる
- 金融機関で取り扱っている商品の中から運用商品を選ぶ
- 掛金・口座管理料は自己負担
企業型確定拠出年金
- 会社で退職金制度として導入されている場合に加入
- 企業によりない場合や、あるけれど加入条件や加入するか否かを選べる場合がある
- 金融機関は会社が定めたものから選択
- また、運用商品も定められた金融機関の中から選択
- 掛金や口座管理料は会社負担だが、会社により口座管理料に関しては自己負担の場合もある
以上のようなことが、企業型と個人型の違いとなります。
個人型では、自分で全てのことをおこなわなければなりませんが、企業型では比較的よくわかっていなくても利用することが簡単にできるでしょう。
しかし、そもそも企業型拠出年金がなければ、選択肢は個人型拠出年金のみとなります。
確定拠出年金はなぜやめとけと言われるのか
確定拠出年金には、税制優遇という大きなメリットがあることを知っている人は多いでしょう。
ではなぜ、明らかなメリットがあるのにやめとけという情報が多いのか。
その理由としては、以下のようなことが考えられます。
60歳まで受け取れない
確定拠出年金は、企業型・個人型どちらも最短で60歳になるまでは受け取ることができません。
掛金の設定はできるものの、毎月お金を払い続けて、仮に生活に困ったり大きな出費があるような場合でも預けたお金を使うことはできないのです。
仕事が安定していて60歳までお金に困ることがない方であれば良いですが、大半の方は10年後、15年後などにも不安は大きくあるでしょう。
そんななか、資産はあっても60までは受け取れないというのがやめとけと言われる原因ともなっています。
時代の変化に対応できない
確定拠出年金は、運用方法にもよりますが、投資をしているという考え方が一般的です。
投資をするということは、元本割れをする可能性も十分にあります。
近年では、投資の仕方や種類なども豊富に増えてきて、時代の波にのるためにはしっかり儲かるところにシフトしていく必要があるでしょう。
しかし、先程もお伝えしたように確定拠出年金は一度始めてしまえば60歳までやめることはできません。
今後10年後などに明らかに確定拠出年金で運用している商品が悪い方向にいっても、黙ってお金を払い続けるしかないのです。
損をするとわかっているのにお金を払い続けるというのは、今後の不安もどんどん大きくなりますし、始めたことへの後悔も大きくなるでしょう。
いざ受け取るときの方法が複雑
確定拠出年金の受け取り方法は、複雑で細かい部分の把握が難しいです。
確定拠出年金は、手続きは少し面倒ですが、終わってしまえば運用はほぼなにもすることがなく簡単でしょう。
そのため、始めてから60歳までは基本的にほったらかしで大丈夫です。
しかし、問題なのは受け取るときの方法がいくつかあり、受け取り方によって総合的な金額がかわるということです。
受け取る方法は以下の3つがあります。
- 年金として定期的に受け取る
- 年金として一括で受け取る
- 年金と一時金の併用で受け取る
これらは自身で選択することができますが、しっかり理解して選択をしなければ、結果として損をしてしまう可能性があるため注意が必要です。
退職金がもらえないって本当?退職金と確定拠出年金の違いは?
企業型確定拠出年金の制度が会社にある場合、退職金がもらえるかどうかは企業によります。
退職金を確定拠出年金として扱う企業もありますし、それぞれを別として扱う企業もあるのです。
そのため、確定拠出年金の制度がある会社に勤めている場合はしっかり確認をしておいたほうが良いでしょう。
また、退職金と確定拠出年金の違いは以下のようになります。
退職金
- 退職後・定年後の社会保障
- 退職金の運用責任者・掛金を決めるのは事業主となる
- 払われる金額は、会社により定められている(勤続年数や実績による)
- 退職金の受取りは、退職時にまとめて受け取れる
- 税制上の優遇として、退職所得控除が適用される
確定拠出年金
- 退職金制度の1つであり、公的年金の上乗せとなる
- 掛金を決めるのは事業主となるが、自身の任意により掛金を上乗せすることも可能
- 運用する金融は会社により決まっており、その中から個人で商品を選ぶため、運用責任は個人となる
- 最終的にもらえる金額は、掛金や実績により変わってくる
- 受け取れるタイミングは60歳以降
- 受け取り方は、定期的や一括など選べる
- 税制上の優遇として、掛金・運用益は非課税、受け取り方により控除を受けることができる
このように似ているところもあれば全く違うところもあるため、しっかり理解することが大切です。
企業型確定拠出年金に潜む罠とは
企業型確定拠出年金は、企業でおこなってくれるため手続きも難しくなく、資産形成において便利そうに感じますが、しっかりと理解をして利用しなければ思わぬ罠にハマってしまうこともあります。
では、具体的にどのような部分に気を付ければ良いのかを下記でご紹介します。
企業により利用できる金融機関が違う
企業型確定拠出年金では、個人型確定拠出年金と違い、金融機関を自分で選ぶことはできません。
金融機関を選べないということは、自ずと選べる商品も限られてきます。
自分が信用できる商品や、将来を期待できる商品がたまたまあれば良いですが、不安な商品ばかりの場合は利用したいとは思えないでしょう。
しかし、企業型確定拠出年金は企業による強制加入の場合も多いため、このような場合は少しでも多くプラスになるような商品を見極める必要があります。
そして、自分でしっかり選ばない場合に、企業によるお任せで商品が決まってしまう場合もあるので、まずは確定拠出年金が制度としてある会社に勤めている人は、放置せずに向き合うようにしましょう。
個人型確定拠出年金と比べるとそもそも選べる商品数が少なかったり、手数料が高い場合がある
企業型確定拠出年金で取り扱っている金融機関の商品は、個人型確定拠出年金で選べるものよりも少ないことが多いです。
また、個人型確定拠出年金では、「元本保証型」「インデックス型」「アクティブ型」など様々な運用方法があり、投資の対象も「全世界」「全米」「先進国」など自由に選ぶことができます。
それが企業型確定拠出年金になると元本保証型が大半のものであったり、手数料が割高なものばかりなどと、資産を増やすことを考えたら全くおすすめできない商品も多いでしょう。
企業によっては商品数などはしっかり確認をし、必要に応じて掛金のコントロールなどが必要です。
企業型確定拠出年金のメリット・デメリット
企業型確定拠出年金のメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット
・税制優遇が多い
企業型確定拠出年金は、税制優遇が多いという特徴があります。
・運用益が非課税
一般的に金融商品を運用する場合、運用益には税金として20%ほどかかりますが、企業型確定拠出年金の場合は免除されます。
・節税効果がある
企業型確定拠出年金で預けた金額は、所得としての扱いとならないため節税効果があります。
給与として扱われないため、所得税や住民税、社会保険料などの税金を減らせるのは少なからずメリットとなるでしょう。
・受け取り時に控除を受けられる
退職や定年の際、企業型確定拠出年金を受け取りますが、これが確定拠出年金・年金どちらの扱いでも控除を受けられます。
確定拠出年金の場合は退職所得控除、年金の場合は公的年金控除として、控除が受けられるのです。
・口座管理手数料がかからない
企業型確定拠出年金では、運用にかかる毎月の手数料などが会社負担となるため、お得です。
個人型確定拠出年金の場合、金融機関により様々な手数料や管理料などで毎月数百円ほど取られてしまいます。
数百円なら大したことも無いように感じますが、運用する期間が何十年もあるため、意外と合計すると大きな差が出てくるでしょう。
その点企業型確定拠出年金はこのような手数料を払わなくて良いため、お得に運用をすることができます。
デメリット
・60歳を越えるまで手元に入らない
こちらは先程もご紹介しましたが、確定拠出年金は60歳になるまで手元に入ることはありません。
もし通常の貯金があまりない状態でお金が必要となった場合でも、預けてるお金はあるのに引き出すことができないというのはデメリットでしょう。
・元本割れする可能性がある
企業型・個人型に限らず商品により元本割れをして結果的に損をしてしまう可能性があります。
個人型の場合は、ラインナップをみてリスクの低い商品にしたり、インデックス型を選んで堅実に運用することも可能ですが、企業型の場合は商品自体が少なく希望通りに選べないことも多いでしょう。
転職する場合にやるべきこと
もし現在勤めている企業で、確定拠出年金に加入している状態で転職をする場合は、必ず切り替えの手続きをしましょう。
転職先の企業が確定拠出年金の制度がある場合は、担当の部署や事務に聞いて、移換手続きのやり方を聞いておこないます。
逆に転職先の企業が確定拠出年金の制度がない場合は、個人で確定拠出年金(iDeCo)への移換手続きをするようにしましょう。
もしこの手続きをしない場合、前職で支払っていた確定拠出年金は、半年ほどで現金化されてしまい、資産から毎月手数料が引かれるなどのデメリットがあるため、忘れずにおこなうようにする必要があります。
まとめ
企業型確定拠出年金は、個人型確定拠出年金に比べると加入している人数は5倍ほどの割合でいます。
企業で決められている場合、加入するのが強制のためとはいえ、企業にも個人にもメリットがあるため、取り入れている企業が増えているのでしょう。
また、転職先に確定拠出年金の制度があるけれどあまり乗り気でない人は、掛金を減らしたり、元本割れのなるべくしにくい商品を選ぶなど、上手に活用することでメリットとなる部分が大きくなるのではないでしょうか。