「介護事務」の仕事内容を皆さんはご存知でしょうか?
「介護事務」という職業について、テレビや雑誌・ビジネスシーンなどで見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。
「介護事務」の仕事内容や仕事のやりがい・つらいこと・向いてる人の特徴・なりかたなどを知っていないと転職活動ができません。
今回は、現役で「介護事務」として活躍されている方に、インタビューのうえ、実体験を踏まえて根掘り葉掘り聞いてみましたので、これから目指そうと考えている方の参考になることでしょう。
介護事務の仕事内容と給料
仕事内容
介護事務の一番の目的は、提供した介護サービスをしっかりと保険請求に結びつけてレセプトを作成すること。
施設や会社によってやることは異なるが、一番大切なのは「実績(提供した介護サービスの履歴)の管理」や「利用される方の保険情報の管理」、「提供表と言われる、予定表と実績の管理」が重要になります。
また、介護保険請求では制度の理解が不可欠で、各種サービスに細かく決められている「加算」を頭に入れておく必要があります。
具体的には、施設や事業所の体制に対して与えられる加算や、利用者などに実際に提供したサービスに対して与えられる加算(出来高部分と呼ばれる)を現場からヒヤリング、もしくは確認のうえ加算算定することである。
介護保険の請求では、利用者と施設・事業所だけではなく、外部のケアマネ(介護支援専門員=ケアマネジャー)との調整が不可欠です。
具体的には、ケアマネが計画する予定に基づき介護サービスが提供されるのが原則のため、それらの基本知識も必要になります。
また、法人によっては介護事務だけではなく労務管理なども担当することが多くあります。
給料・年収
250万円程度と決して高くはないです。
長く勤めることで多少は給料が上がります。
一般事務も出来ると仕事の幅が広がるので採用してもらいやすいです。
介護事務の仕事のやりがい
介護事務のやりがいは、実際に介護を提供する立場にはありませんが間接的に高齢者・利用者を支援する立場にあるため感謝される仕事であるという点がやりがいになると思います。
一方で、加算算定や収入確保のために現場職員やリーダー級の職員、経営層にたいしても自分の考えや意見をハッキリと伝える必要がありリーダーシップを取ることが出来る仕事という点も魅力のひとつになります。
また、請求の誤りは直接的に経営を左右しますので、ある程度緊張感を持って働くことが出来る点もプロ意識の醸成に役立ちます。
仕事柄、介護サービスの現場と近くで作業するというケースも多いことから、直接的に利用者・高齢者の方と接するという機会も持つことがあります。
直接的に感謝されたり、喜ばれたりするというのは、他の事務職では経験することが少ないことだと思います。
今後の超高齢化社会を間接的に支えることができる介護事務は、とてもやりがいがあり社会の役に立つ仕事だと思います。
介護事務の仕事で辛いこと
最も気をつけなくては行けない点は、請求の誤りがないようにすることや不正請求がないようにすることです。
また、どうしても現場の介護職員などが施設の中心となるため、主役として活躍したいのであればあまり勧められない仕事です。
介護事務のツライところは、「事務員は気楽な仕事してる」と思われてしまうところだと思います。
現場で汗水垂らして働く訳ではありませんので、現場の職員から見ると「楽な仕事」という風に思われてしまうところが理不尽な点です。
また、細かな作業や責任感も大変さの一つだと思います。
介護事務の請求では、大きな施設の場合数千万円の保険請求が行われます。
少し誤るだけで、会社の資金繰りにも影響が出るほどの影響力のある仕事です。
逆に考えれば、それくらい責任感が大きいということはやりがいにも繋がるものです。
また、それほど大きくない施設では、人数が少ないということもあり分からないことを聞きにくいということも介護事務のしんどさです。
介護事務へ向いている人の特徴3つ
- パソコンがしっかり使いこなせること
- 細かな作業が得意な方
- 縁の下の力持ちとして活躍したい方
①パソコンがしっかり使いこなせること
介護現場では、パソコンを使いこなせない職員も多くいるためパソコンでの作業が出来ることは大きな強みになります。
例えば、掲示物の作成やご家族への案内など介護施設で数多く行われる業務に対しても、パソコンスキルはとても役に立ちます。
また、介護施設では写真を撮ったりする機会なども多くあるため、パソコンを使用して印刷することや簡単な画像編集なども出来るととても役に立ちます。
他にも、介護事務は基本的に専用の介護システム(ソフト)を使用することが多いため、パソコンの知識やスキルが無いと苦労します。
決められた工程を行うことが主になると思いますので、最低限、キーボードを迅速に打てるスキルは必要だと思います。
書類の作成や保管、管理などパソコンのある程度の仕組みがわかっていないと事務的な仕事は厳しいと感じます。
②細かな作業が得意な方
介護事務では、直接的に売上や保険点数の算定を行うことが仕事です。
そのため、数字が合わなくなることや統計や各種調査など細かな作業が必要になる機会が多くあります。
細かな作業、特に数字面での作業が苦手な人には厳しい仕事だと思います。
特に、決算や棚卸しなどで数字が合わなかった時に、何がおかしいのか、どこが誤っているのかを探す根気強さも必要です。
保険請求では、返戻(保険の差し戻し)や過誤申立(保険請求が誤ったことで、自ら保険を取り下げること)など数字がプラスマイナスすることがあります。
実際に今の未収金がどれくらいなのか、ご利用者の方の請求のどこが誤っているどれくらい返金しなくてはいけないかなど数字を合わせる能力も必要になります。
そのため、細かな作業が苦手な場合にはとても苦労すると思います。
③縁の下の力持ちとして活躍したい方
介護の現場で一番活躍するのはやはり、現場の介護職員であり直接的に利用者・入所者と接するその他の職種の職員です(看護職員や機能訓練指導員など)。
介護の現場で提供した業務や提供したサービスをしっかりと点数や加算として評価するのが介護事務の役割です。
そのため、常に現場の職員のことを盛り上げて、またしっかりとコミュニケーションを取ることで縁の下の力持ちとして介護施設・介護事業所を支えるのが介護事務の仕事です。
介護事務は直接的に利用者・高齢者の方にサービスを提供することはできませんので、間接的に下働きが出来る方が介護事務に向いていると思います。
一方で、施設の知識・情報の管理としての役割を担うので、現場の職員を導き、指導や助言を与えることも大切な役割です。
リーダーシップを持って、現場を支えることが好きな人に向いている仕事だと思います。
介護事務へ向いていない人の特徴3つ
- 協調性がなく、周りと上手くできない人
- 細かな作業が苦手で、忍耐力の無い人
- 責任感を持って時間通りに仕事ができない人
①協調性がなく、周りと上手くできない人
介護事務の仕事は一人では全く仕事になりません。
介護現場で提供した介護サービスや加算をしっかりと点数にすることでようやく存在価値を発揮します。
そのため、周りの職員と協調性を持って仕事ができない人には適さない職種だと思います。
また、業務を遂行するためには現場の職員だけではなく後輩職員や若い職員にも話しを聞かなくてはいけないことが数多くあります。
コミュニケーション能力が無い人や偉そうな態度を取る事務員は最も嫌がられますので、周りと上手く仕事をするというのが最も必要なことだと感じます。
たまに事務員が介護現場を回していると勘違いしている介護事務員がいますが、それは大きな間違いです。
現場の人達が汗水垂らして介護をしてくれていることで、自分たちにも仕事があるということを理解できない人は介護事務には向かないでしょう。
②細かな作業が苦手で、忍耐力の無い人
介護施設・事業所を利用する多くの方の情報を細かく頭の中に入れておく必要があります。
名前と顔は一致しなくてもいいですが、最低限、名前と保険情報やその人の属性(要介護度や負担割合)などの細かな情報を頭に入れておく必要があります。
また、返戻や請求の不備が会った時に、何が誤っているのか・どこが誤っているのかなどの細かな情報を把握しておくことや間違いを見つけ出すという能力も必要です。
そのために時間がかかることもあります。
忍耐強く最後まで原因を把握する忍耐力や責任感が必要になります。
決算や棚卸しでは、数字が合わなくなることも多くあります。
なぜそのような誤りが起こったのか、原因を追求する能力や忍耐強さも大切です。
以上のような理由から、細かな作業が苦手な方には向かないと思いますし、忍耐力や責任感が無い方には向かないと思います。
③責任感を持って時間通りに仕事ができない人
介護事務の一番大切な業務の一つが保険請求事務です。
保険請求では、月末までにしっかりと当月の実績を確認すること、そして翌月スグに実績をケアマネに報告するという作業があります。
そして、その実績の誤りがないかをケアマネとすり合わせたうえで、国保連合会への保険請求という介護施設で最も大切な作業があります。
数字や実績を誤らないということももちろんですが、時間通りに仕事を行うということがとても大切になります。
時間通りに仕事ができないと、会社や事業所に迷惑をかけるのはもちろんですが、他の事業所やケアマネにも迷惑をかけてしまいます。
時間通りに仕事をしっかりと行うということは介護事務の大きな責任のひとつです。
全ての仕事で共通だと思いますが、時間に対する意識や責任感は介護事務にとっても重要な役割だと思います。
介護事務へ就職する方法
社会福祉法人や介護施設を経営する営利法人へ就職することです。
ハローワークや転職サイトの求人をコマ目にチェックすることです。
資格は無くても問題ないが、介護事務の他に一般事務の経験や資格(簿記など)があるとなお良いでしょう。
介護事務は責任感とやりがいのある仕事です。
直接介護を行うわけではないからと気楽な気持ちで目指すのは間違っていますので、責任感と目的意識をもって目指すことをお勧めします。