ウィルスと細菌の大きな違いは生物かそうでないかです。
ウィルスは他人の細胞の中で増殖し、細菌は他人の細胞の外で増殖すると言えます。
この違いによって、体の防御反応「免疫反応)や治療法が大きく変わってきます。
「ウィルス」とは?
ウィルスとは、たんぱく質の外殻、内部に遺伝子(DNA, RNA)を持っただけの単純な構造の微生物です。
最近のよう摂取してエネルギーを生産するような生命活動は行いません。
大きさは、細菌よりもはるかに小さく、μmのさらに1/1000の単位【nm(ナノメートル)】が用いられます。ウィルスを見るには電子顕微鏡が必要です。
細胞を宿主にするため、ウィルスがより小さいのは当然です。
ウィルスは現在発見されているものだけでも、少なくとも2,800種が存在していて、そのうち病気の元となるのは数百種類とされています。
たとえ栄養と水があったとしても、細菌とは異なり、ウィルス単独では生存できません。
ウィルスは、自分自身で増殖する能力が無く生きた細胞の中でしか増殖できませんので、他の生物を宿主にして自己を複製することでのみ増殖します。
「細菌」とは?
細菌とは細胞を持ち、自己複製能力を持った微生物です。一つの細胞しか無いので単細胞生物です。
大きさは、通常1mmの1/1000の単位【μm【マイクロメートル)】が用いられます。細菌は光学顕微鏡で見ることができます。
生物を形成する基本単位となるもので、私たち人間を含めたすべての生物が細胞によって構成されています。
世の中に存在する細胞は少なくとも6,800種ほどいると言われています。推測では400,000種ほどいると言われています。
その中にはヒトの体に侵入して病気を引き起こす白癬菌や結核菌、黄色ブドウ球菌みたいな細菌がいれば、納豆菌やビフィズス菌のようにヒトを健康に導く細胞もいます。
糖などの栄養と水があり、適切な環境のもとでは、細胞分裂を繰り返すことによって生きた細胞が無くても自分自身で増殖できます。
「ウィルス」と「細菌」の違い
ウィルスと細菌はその大きさや増殖能力の有無など、さまざま観点から違いを表すことができます。
中でも決定的な違いとしては、細菌は生物であり、ウィルスは生物とは言い切れないところです。
ウィルスの特徴として、
- 細胞が無い
- 栄養を摂取したり、エネルギーを生産したりしない
- 自力で動くことはできない
- ウィルス単体では自力で増殖することができない
ウィルスは細胞がなく、細菌よりさらに単純な構造です。
タンパク質でできた「カプシド」という殻の中に遺伝子情報となる核酸が収められています。
また、インフルエンザウィルスなど一部のウィルスには、カプシドの外に「エンベロープ」という膜がついているものもあります。
細菌の特徴として、
- 細胞を持つ
- 栄養を摂取し、そこからエネルギーを生産している
- 細胞分裂を繰り返すことによって生存、増殖も行っている
単細胞生物を除いたすべての生物は複数の細胞によって成り立っており、複数の細胞は基本的には細胞膜や細胞壁によって一つ一つが区切られています。
私たちの体の中で、細菌に対しては白血球野中の「好中球」という細胞が主体となって防御し、ウィルスに対しては主にリンパ球(とくに細胞障害性Tリンパ球)が防御にあたります。
治療法としては、細菌には対しては「抗菌薬(抗生物質)」が用いられます。一方、抗ウィルス薬は種類が少なく、薬で対応できるウィルスはかなり限定されます。