大人の発達障害という言葉を見聞きすることが多くなり、ADHDやアスペルガー症候群など、自分が発達障害だということをオープンにする人も増えてきました。
また、発達障害のある方は、職場で「仕事ができない」、「仕事が遅い」、「仕事のミスが多い」などのレッテルを貼られる事も多いため、フリーランスや自営業・ブロガーといった一人でできる仕事を求める傾向があります。
今回は、発達障害の方でも一人で続けることができる仕事と特徴やおすすめする理由をご紹介します。
発達障害とは
発達障害とは、生まれながらに、脳になんらかの特性を持っていることを言います。
その特性は様々で、一般的には後述する3つの種類に分類されます。
これらは、いくつかの種類を併発することもあれば、出てくる症状の度合いも人によって様々です。
比較的軽い症状の、いわゆるグレーゾーンの場合で、医師の診断などが得られていない場合には、周囲から「変わった人」として見られてしまい、本人が生きづらさを感じてしまうこともあります。
発達障害の種類
前述した、発達障害の3つの分類についてみていきます。
⑴自閉症スペクトラム障害(ASD)
一般的に、「自閉症」や「アスペルガー症候群」と呼ばれている障害などの総称です。
他人の気持ちを理解することが難しく、人とのコミュニケーションが苦手です。
言語の遅れや、目が合わないという特徴もあります。
こだわりが強いといった面もありますが、これは時に、類稀な才能を発揮させることもあります。
主に、女性よりも男性に多いとされています。
⑵注意欠如・多動性障害(ADHD)
衝動的な行動をとってしまうため、ルールなどを守ることが苦手です。
注意力が散漫になりやすく、同じ作業を繰り返し行うことも苦手です。
成長するにつれて、忘れ物やミスが多いなど、社会生活に支障をきたすこともあります。
しかし、興味のある事への集中力は高く、想像力も豊かです。
また、その活動的な特性から、人によっては高いコミュニケーション能力を発揮します。
⑶学習障害(LD)
知的な発達に遅れはありませんが、主に、「読み」「書き」「計算」といった、特定の分野を苦手とします。
全くできない、というわけではないので、勉強不足のように思われがちです。
ただし、特定の苦手分野以外に発達の遅れはありませんので、そういった苦手分野を別の方法で補っていくことで、健常者と変わらない日常生活をおくることが可能です。
発達障害の特性を活かせる仕事
「発達障害」と一口に言っても、発達障害の種類によって、得意、不得意は様々です。
この得意、不得意をふまえて、発達障害の種類別に、特性を活かせる仕事をみていきます。
⑴自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性を活かせる仕事
対人関係が苦手なため、一人でできる仕事が向いています。
また、高い集中力で、丁寧な作業が可能なため、同じことを繰り返し行う仕事も向いています。
こだわりの強い部分を伸ばすことができれば、そういった分野で活躍することが可能です。
⑵注意欠如・多動性障害(ADHD)の特性を活かせる仕事
集中力を保つことが難しく、同じことを繰り返し行うことが苦手なため、日々、様々な作業を行うような仕事が向いています。
コミュニケーション能力が高い場合には、様々な人と関わりをもつ仕事もで力を発揮することができるでしょう。
ただし、集中力が続かなかったり、ルールに従うことが苦手なため、一人でできる仕事だと、細かな休憩なども取りやすく、働きやすいかもしれません。
⑶学習障害(LD)の特性を活かせる仕事
知的な発達に遅れはないため、苦手な分野を伴わない仕事であれば、比較的どんな仕事でもこなす事が可能です。
ただし、知的な発達に遅れが無いことによって、この障害について理解を得にくく、また、理解が得られても、周りの目が気になる場合には、一人でできる仕事だと、精神的な負担を軽減することができます。
発達障害の方が仕事をする上で気をつけるべきこと
ここまで、発達障害の種類や特性を活かせる仕事について述べてきましたが、仕事をするにあたり、全ての発達障害に共通して言える大切なことは、周囲の理解です。
この理解が得られず、本人が生きづらさを感じてしまうと、うつ病などの精神疾患を発症してしまうこともあるので注意が必要です。
そこで、そのような負担を軽減する方法として、一人でできる仕事につく、といった方法があります。
一人で仕事をすることで、人間関係の悩みがなくなり、自分のペースで、周りの目を気にすることなく仕事をすることが可能となります。
発達障害の特性を活かしながら、一人でできる仕事の具体例
⑴自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性を活かしながら、一人でできる仕事の具体例
マニュアルに従い、コツコツと作業をすることが得意なので、プログラマーやデータ入力業務、工場のライン作業などが適しています。
得意分野を活かすことができれば、イラストレーターなどの、芸術的な分野での活躍も期待できます。
⑵注意欠如・多動性障害(ADHD)の特性を活かしながら、一人でできる仕事の具体例
活動的で、想像力も豊かなため、コピーライターや、デザイナーなどが向いています。
配達業務などの、色々な所へ出向いて作業をする仕事も、活動的な特性を活かしすことができますし、日々の変化も感じやすく、飽きにくいと言えます。
⑶学習障害(LD)の特性を活かしながら、一人でできる仕事の具体例
知的な遅れはないので、苦手分野に当てはまらなければ、他2種の発達障害で述べた仕事は、問題なくこなすことが可能です。
他には、読み書きに問題なければライター、数字や計算に問題がなければ、経理事務なども、働き方によっては、一人で作業することが可能です。
一人でできる仕事のデメリット
最後に、一人でできる仕事のデメリットも見ておきます。
誰にも見られていないため、怠けてしまうことがある
一人で仕事をするということは、誰にも見られておらず、注意をしてくれる人もいないません。
そのため、プライベートからの切り替えが難しいということもあり、怠けてしまうことがあります。
これを防止する方法として、自己管理をしっかり行う必要があります。
確定申告などの、仕事以外の部分も自分で行う必要がある
会社員の場合には、会社で行ってもらえるため問題はありませんが、フリーランスの場合、確定申告などの申告も、自分で行う必要があります。
自分で行うことが難しい場合には、多少の費用はかかりますが、専門家に依頼することも可能です。
健康保険料が割高になる
こちらもフリーランスの場合の問題ですが、国民健康保険に加入する場合、会社員の方が加入している健康保険よりも、場合によっては保険料が割高になります。
また、国民健康保険には、扶養制度がないため、扶養者が増えるほど、保険料が高くなってしまうというデメリットもあります。
この問題に関しては、本人の収入が一定額以下の場合には、会社員の家族の扶養に入ることで、健康保険料が不要となります。
全てを自分一人で行う必要があるため、責任を感じやすい
フリーランスで仕事をする場合、自分の代わりや相談相手もおらず、また、収入の変動もあるため、そういった面での責任や、プレッシャーを感じやすいと言えます。
会社員の場合は、こういったことはほとんどありませんが、一人で仕事をする以上、少なからず、自分で判断をしなければならない場面も出てくるでしょう。
まとめ
発達障害には様々な種類や特性があり、どの特性がどの程度出現するのかも、人にって様々です。
しかし、どの特性をどの程度持っているのかに関係なく、周囲の理解は必要不可欠です。
これらの理解が得られない場合や、得られていても、本人が生きづらさを感じている場合には、一人で仕事をするいうことが、これらの問題を軽減できる場合もあります。
しかし、一人で仕事をするということにもデメリットはありますので、そういったデメリットも考慮しながら、自分にあった仕事を見つけていきたいですね。