「長いものには巻かれよ 」という言葉の意味をご存知でしょうか。
「長いものには巻かれよ 」という単語は日常会話に使われることが多いため、職場の会話で聞いたことがある方も多いでしょう。
しかし、「長いものには巻かれよ 」という言葉は実際どういった意味なのか、どのような場面で使うのか、正しい使い方は何かを知っておかないと、困る時があるかもしれません。
そこで今回は、「長いものには巻かれよ 」という言葉の意味を簡単に分かりやすく解説し、例文や類語なども交えて紹介します。
正しい使い方を覚えて、活用していきましょう!
「長いものには巻かれよ 」の正しい意味とは?
世の中を楽に生きていくための一つの手段で、自分よりも目上のもの、力の強いものや権力を持つもの、多数を占めるものなどが周囲にいる時は、その大きな力の前ではおとなしくして従順に勢力に逆らわず、その流れにつき従う事が得策だという意味の言葉です。
人間社会にいれば必ず遭遇することであり、学校でも地域でも力のある人のいう事を聞いておけば摩擦が起きる事もなく、楽にすごしていけるという経験は誰にでもあると思います。
良いか悪いかは別にして、生きていく上での一つの戦術でもあり大事な処世術でもあります。
「長いものには巻かれよ 」の使い方を例文で解説
①この事案の発案者は、この会社の長老にあたる人だから「長い物には巻かれよ」と思って行動した方が良いでしょう
あるアイデアを出したのがこの会社では長老にたる上司だから、自分の意見があってもわざわざ口に出して目立つことはしないで、その人の言うようにしておいた方がこれからの事を考えても良いと思います。
あえて波風を立てない方が楽に過ごせるし、人間関係もよくなり上司からは可愛がってもらえて出世も見込め、将来的にも得策になると思います。
②世の中ではよく「長い物には巻かれよ」と言いますが、たまには自分の意見もいうべきでしょう
長いものに巻かれるのを好む人は、処世術がうまく周りに敵をつくらない人間関係も良好な人が多いと思います。
そんな中であまりにも権力者の方になびきすぎると「イエスマン」になり八方美人になってしまうのも良くありません。
大事なことは自分というものをしっかりと持ち、ここぞという時には自分の意見を言える人になったほうが、周囲の人からの信頼も得られると思います。
③体育会系のクラブは先輩のいう事は絶対だから長いものに巻かれた方が良いですよ
学生時代の体育会系のクラブには先輩・後輩には格差があって、クラブの中では先輩のいう事は重要要件でした。
違うと思って口に出すと、生意気だと言って叱られて決して良いことはありません。
学校のクラブという狭い空間の中では、権力を持つ先輩には異論があっても常にイエスマンでいた方が、過ごしやすく目もかけて貰えるので、できる限り長いものに巻かれていた方が平和に暮らせると思います。
「長いものには巻かれよ 」を言い換え・類語は?
①唯々諾々
常に「はいはい」と人のいう事を聞いて言うがまま従うということです。
これは中国の故事成語で「唯」の意味は「ただ」「ひたすら」「はい」のような意味を持ち、「諾」は承諾の「諾」のように「引き受ける」・「承知する」事を意味します。
両方の漢字を合わせると「ただただ承知する」という意味で、言われたままに人の言いなりになるということです。
②寄らば大樹の陰
例えば雨風をしのぐのに、小さな細い木より大きな太い木の方が被害が少なくなるように、権力の大きなものについた方が大きな利益を得られるという事です。
「寄らば」という言葉には「もしも寄りかかろうと思うなら」というように仮定形になっています。
だからもしも寄りかかるとすれば、小さなものより大きなものを選びなさいという意味合いも持っていることわざです。
③付和雷同
これは古代中国の文献「礼記(らいき)」の中に書かれている道徳的な教えの一つで、自分の意見を持たず、考えもなく、簡単に人に賛同してはいけない、安易に他人の意見につき従うな、という教えからきています。
「付和」とはその人の側につき、その人の意見に賛同する事、「雷同」は字のごとく雷が鳴った時には、他の物もその音に共鳴してしまう様を表しています。
したがってどちらにも簡単に他の物に同調してしまうという意味あいを持つ言葉で、自分というものを持たずすぐに人の意見に同調してしまう事を言います。
「長いものには巻かれよ 」の使用上の注意点
「長いものに巻かれる」は、周りと摩擦を避けるために必要な処世術です。
政治の世界でも会社の中でも地域社会でもどんな所に行ってもそれぞれに強い発言権を持った人たちがいます。
新参者や年少者が自分の意見を言い、それを通そうとするならば相当な圧力がかかるでしょう。
だから常にその空気を読み、自分の立場を守りながらしたたかに生きていく処世術が必要となってきます。
これは良い事ばかりではなく、ネガティブな考え方をすると、争い事が嫌いで目立たず、自分の意見を持たず、集団でいたいので一人で行動することが嫌い、その時の強いものに靡いてしまうので八方美人になりがちな人になってしまうのです。
そうすると周りの人からは「イエスマン」・「腰ぎんちゃく」として逆に信用度を失ったり、存在感がなくなったりします。
長いものに巻かれるのは平和的で良いのですが、自分の考えもしっかり持ったうえで自分をコントロールできると素晴らしいです。
このように「長いものに巻かれる」という言葉は、ポジティブとネガティブが背中合わせになっている言葉ですので、ネガティブ感情の含んだ時の使い方は避けた方が良いでしょう。
使用上の注意点はこんなところだと思います。
「長いものには巻かれよ 」の英語
Be wound on something long.(長いものに巻かれる)
If you can’t beat them, join them. (もしあなたがそれらを打ち負かせないならそれらに参加しなさい)
It is no meddling with our betters.(目上の人々と争うことはできない)
まとめ
多数決という事を昔から教えられてきましたが、これは「長いものに巻かれる」という言葉の線上にあります。
民主主義などで意見の違う多くの人々の意見をまとめて決めるために必要な手段です。
そのようなルールの中で物事を決めたり、また上司や権力者、目上の人などの影響力の強い立場にいる人達の意向を尊重したりすることによって、時間の短縮や仕事の効率、自分の立場を守るなど大きなメリットを得る事ができます。
「長いものに巻かれる」事は、世の中をうまく回すための簡単で必要な処世術なので、自分を見失わないよう自分の考えを持ちながら、空気を読み大きなものに合わせていくしたたかな生き方ができればよいのではないでしょうか。