適応障害と発達障害の違いを一言で説明すると、適応障害は外部からに刺激によるストレス(本人にとって嫌だな、と感じる状況)が原因で発症する症状で原因がなくなれば治る症状ですが、発達障害は生まれつきの脳の機能障害のため完治するという事はありません。
「適応障害」とは？
適応障害とは、ストレスが原因で様々な症状となって表れる精神疾患です。
原因となるストレスを感じてから1～3か月で発症すると言われています。
また、原因となるストレスがなくなれば3～6ヶ月以内に症状が改善すると言われています。
原因となるストレスは世代や生活環境によって様々ですが、例えば学齢期や思春期の場合、学校での対人関係に疲れてしまったり、学校で上手くいかないことがあるなど外部からぼストレスによって引き起こされます。
また、成人に達した後は職場の人間関係や仕事上の悩み、さらに老齢世代に至っては慢性的な疾患や老いが原因で適応障害が引き起こされることもあります。
こういったマイナスイメージの原因だけでなく、出産や引っ越しといった通常であれば喜ばしいことでも発症する場合があるのが特徴で、その人にとってストレスを感じる要因であるかどうかによって原因は多岐にわたります。
症状としてはイライラ感が募ってしまうタイプ、何に対しても意欲が全くわかなくなるタイプ、物事を悪い方にばかり考えてしまうタイプなど様々な症状として発症します。
「発達障害」とは？
発達障害とは、生まれつきの脳の機能障害です。
生まれつきであるため、幼児の時期から情緒的な面、行動の面で通常とは異なる特徴がみられます。
生まれつきではありますが、こういった特徴的な症状に家族が気が付くのが幼稚園や学齢期に入ってからという場合もあります。
さらには、成人に達してから生き辛さを感じて本人がやっと発達障害であったことに気が付くこともあります。
いずれにしても症状の特徴から、親が育児の悩みを抱えやすく、本人も生き辛さを感じてしまう傾向があります。
症状としては、自閉症スペクトラム、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)といった症状に分類されます。
自閉症スペクトラムとは、コミュニケーションが苦手で相手の気持ちを読むことが苦手な傾向があります。
また、こだわりが強く、特定のことに対する関心が非常に強いため好きなことは何時間でもやる傾向もあります。
多動性障害(ADHD)は落ち着きがなくじっとしていられない、すぐにかっとなる(多動・衝動性)と集中力が持続できない、作業ミスが多い(不注意)の症状があります。
片方だけの症状の人もあれば、両方の症状を持つ人もいます。
学習障害は全般的な知能には問題はないのに計算・読み・書きなど特定の学習について困難を抱えることをさします。
以上の方外の結果、ストレスを抱えてチック症や吃音と言った二次障害を引き起こすこともあります。
生まれつきの障害のため根本的な治療法はないのですが、落ち着きのなさや衝動性など生活上の困難を抱える部分についての症状を一時的に改善する投薬治療はあります。
また、周りの人が個人の障害の特性に合わせて理解し環境を整えることで症状が目立ちにくくなり、本人も生きやすくなります。
「適応障害」と「発達障害」の違い
適応障害と発達障害の違いは次の点にあります。
・適応障害は生活上の外部からのストレスが誘因となって発症しますが、発達障害は生まれつきの脳の機能障害であるため、外部の刺激云々に関係なく本人が有する個性です。
・適応障害は原因となるストレスから解放されることで数か月以内に改善しますが、発達障害は生まれつきの脳の機能障害であるため「完治する」と言う事はありません。
ゆえに、発達障害の人の場合症状を軽減するための投薬治療をしたり、周りの環境を整えて本人の障害の特性に合わせた学習方法や業務をしてもらう事で本人の生き辛さを軽減させることができます。
・適応障害は外部ストレスが原因となって出てくる症状のため、ストレスの原因になるような外部の刺激がなければ発症しません。
つまり、何もなければ通常人と同じような行動態様をとることができます。
しかし、発達障害の場合は本人の持って生まれた脳の特性であるため、幼少の頃から通常とは異なる行動態様を示します。
例えば特定のことに興味を持ってそればかり強い執着をし、何時間でも一人で集中したりします。
幼稚園などで集団での遊びに馴染まず、一人で遊んでいることも多いです。
また、衝動性の強さから友人関係でトラブルが多発し、親にとっては非常に悩ましい育児となる場合が多いです。
