「放射線技師」の仕事内容を皆さんはご存知でしょうか?
「放射線技師」という職業について、テレビや雑誌・ビジネスシーンなどで見聞きしたことがある方や、病院などで知った方も多いのではないでしょうか。
今回は、現役で「放射線技師」として活躍されている方に、インタビューのうえ、向いてる人の特徴や仕事内容などを、実体験を踏まえて根掘り葉掘り聞いてみましたので、これから目指そうと考えている方の参考になることでしょう。
放射線技師の仕事内容と給料
仕事内容
診療放射線技師が携わる業務としては、
- レントゲン撮影
- X線CT
- MRI
- 超音波検査
- 胃・大腸バリウム検査
- 心臓・腹部・脳血管カテーテル検査(スタッフとして)
- 核医学検査(シンチグラフィ:放射性同位元素を体内に注射し、体内に集積する様子を画
- 像に収め・解析等をする)
- 放射線治療(放射線によるがん治療)
などが挙げられます。
診療放射線技師の業務としては、端的に言えば(例えばX線を用いる検査なら)「可能な限り低い被ばく線量で最適な画像を得る」ことです。
医師が患者に行う検査について正当化(被ばくのデメリットよりもメリットが大きい)を行い、診療放射線技師は、検査について、その施設でできる範囲内で十分低い線量で最適な画像を得る(最適化)ということです。
また、撮影した検査画像について医師にコメントすることもあり、検査機器の操作方法だけでなく、病気や検査機器の出す画像の意味についても深く理解する必要があります。
胸のレントゲンを撮るとき、「息を吸って、止めて」と言われますが、これは肺を膨らませることで観察可能な範囲を広げるという意味があります。
レントゲン一枚にしても、指示する内容には全て意味があり、最適な画像を得るための努力があります。
こういったことを学校や就職してから学んでいきます。
卒業してからの勉強の方がむしろ重要です。
給料・年収
独占業務なので資格は必須。平均年収500万円(40代)
地域・勤務先規模等にもよるが、診療所勤務で500万円程度
関東は高く、東海地方(岐阜~西濃地方)は安目の評価をされることが多い。
放射線技師の仕事のやりがい
私は現在診療所勤務でレントゲン・CT・超音波検査を行っています。
患者さんの病気が早期発見できた時はかなり嬉しいです。
病気が見つかってしまったこと自体はあまりめでたいことではないのですが、体調が悪かったり、なにかしらの理由で検査になり偶然発見されることもあります。
早く発見できれば、完治の可能性もグッと上がりますし、「偶然」「早く」「見つかった」ことは間違いなく良かったことであると考えます。
また、診療情報や血液検査、患者さんとの会話の中で疾患の候補を絞って集中的に検査することで見つかるものもあり、勉強と臨床経験があるに越したことはないです。
こうして見つけた病気を治療して戻ってこられた患者さんの再検査で何も異常がなかったことを確認するのも嬉しいことです。
検査をする以上、自分の検査で異常を発見し、治療や精密検査に繋げることがとても大切で、ここで見逃してしまったら、次に検査するまでの間にどれほど進行してしまうかわかりません。
自分の技術と経験を、勤務先を通して地域の患者さんに貢献する、これこそがやりがいというものだと思います。
放射線技師の仕事で辛いこと
個人的な経験では、はじめの1~2年は勉強することばかりで、ほぼ毎日怒られていました。
結果としてこの怒られた経験が今を形作っているのですが、当時の院内の教育システムがかなり体育系であったこともあり、体育系でなかった私はかなり苦しい数年を過ごすことになりました。
職業として辛いことというのはそれほどありませんが、自分の担当した検査で病気を追いきれなかった時や、初回の検査ですでにかなり進行している状態を見ると、自分のことではないにしても辛い思いをすることになります。
どんな状態の患者さんであっても、こちらから結果が分かってしまうような表情をしないことが大変重要です。
ある程度の規模の病院では、当直というシステムがありますが、夜明けまで一睡もできなくなるような忙しい当直になることがまれにあり、そういう時は辛いといえば辛いです。
現在の診療所勤務では、検査担当が私一人なので、なかなかまとまったお休みを取りづらいというデメリットがあります。
そのほか、当直に参加するようになって、救急車の対応で我々診療放射線技師ができることは画像検査以外は他の職種のお手伝いや邪魔にならないようにいることだけなので、准看護師でもいいから資格取得出来たらよかったのに、と思うことはありました。(診療放射線技師は、血圧測定や採血などの行為が禁止されているため、救急の現場でできることが少ない)
放射線技師へ向いている人の特徴3つ
- 自分で調べたり、人に教えを乞うことをいとわない
- 多職種の方たちと幅広く仲良くできる
- ある程度の要領の良さ
①自分で調べたり、人に教えを乞うことをいとわない
診療放射線技師に限ったことではありませんが、分からない語句やその検査オーダーで何を見たいのかが分からない時、分からないままで放置しておくことは、自分の為にも患者さんの為にも職場のためにもなりません。
ついでにかなり怒られます。
学生の頃、分からない語句を聞きに来て、「どの本の何ページを見たらいいの?」と聞きに来た子がいました。
まず語句について索引を見たら該当ページに行きつきますし、現在ならネットでの検索でもかなりいい説明が検索にヒットすると思います。
まず調べ、それでも理解が深まらないことについて先輩などに突っ込んで質問をすることで、先輩も理解が深まりますし、自分も新たな知見が得られ、結果として患者さんや病院の評価に繋がります。
必要であれば、外部の勉強会や学会などで、興味のあることについて演者の先生やその道の先行者に積極的に質問することで道が開けることもあると思います。
このように、自分で調べること、人に聞くことは大変大事なことです。
聞いたことはちゃんと覚えていましょう。
②多職種の方たちと幅広く仲良くできる
病院で勤務する以上、医師や看護師など、多職種の方とやり取りをすることは多いと思います。
患者さんの搬送のお願いなど、看護師さんの手を借りないと検査がスムースにいかなかったりし、一日の検査の計画がうまくいかなかったり、患者さんをお待たせしてしまうというストレスから、検査そのものがいい加減になりかねません。
「お願いします」「ありがとうございました」など、人と連携を取るのに必要な語句は本心から言える必要があります。
そうすることで、会話がスムースになり、多職種の方との関係も良くなるので、お願いも通りやすくなったり、して、こちらの仕事にもいい影響があると考えます。
基本笑顔と柔らかい口調が大切で、コミュニケーション能力の高さがある程度求められると考えます。
人間ですからたまには期限が悪かったりしますが、仕事とプライベートは分けるべきですネ
③ある程度の要領の良さ
私は、学生時代までは結構要領の良い方だと思っていましたが、就職してからはかなり苦労しました。
仕事をするのに裏打ちされるべき知識が少なかったというのも大きいですが、失敗したくないという緊張が悪影響を及ぼしていたことが一番大きかったのではないかと思います。
体育系の教え方も正直馴染まなかったですが・・・
働いてみて感じたことですが、学生までは要領が良かったというのは、その事象についてある程度造詣があってのことで、何もかも初めての経験の医療職になってからは教えてもらったことがそのままできないなど、自分の要領の悪さが露呈していたと思い返しています。
分からないことがあった時に自分で答えを出せな場合は、うまく先輩に頼ったりする術を身に着けていれば良かったのですが、コミュニケーション能力がそれほど高くなかったこともあり、なかなか職場に溶け込むことが難しかったです。
結局、私が取った策は、誰よりも早く出勤して始業準備をしたり、早めに検査の予習をしたり、先輩に少しでも聞くことで対策を取っていました。
こういったことで可愛がってもらったり、多少の評価をしてもらうことができました。
分からないことは分からないと、自分をさらけ出して、①のように自分で調べ、人に教えを乞う、また質問しやすい雰囲気をつくることも要領の良さに繋がっているのだろうとおもいます。
自分に要領の良さがないと感じるなら、愚直であることが大事です。
放射線技師へ向いていない人の特徴3つ
- コミュニケーション能力が(ほぼ)ない
- 言われたことができない
- 人嫌い
①コミュニケーション能力が(ほぼ)ない
私が2年ほどバイト先で指導ていた技師さんがこれに該当しました。
雑談もままならず、いまするべきでないことでも自分の興味だけでやってしまって怒られる・・・のような人で、結局この子は放射線技師には向かず、突然辞めるとの電話で終了、となりました。
検査ひとつとっても、カルテを見て、検査に至る原因を読み取り、患者さんとの少しの会話の中で、検査で見せたい部分を確認して診断に近づける努力をするものですが、患者さんへの検査前説明もそこそこに無言で検査をして検査終了とかでは、患者さんもかなり不気味な雰囲気を感じ取ると思うのです。
ある程度の会話能力は患者さんの緊張状態をほぐしたり、痛いところなどを聞き出すのに大変役に立ちます。
特にお子さんの検査では、気持ちよく検査を受けてもらうことが検査の結果にも反映してきます。
②言われたことができない
①と同じ技師さんの話ですが、患者さんを呼び入れて検査、退出までの間に会話をしたり、軽い説明を入れながらスムースに検査を進めていくことができないのであれば、毎回同じ語句を何パターンか用意してすらっといえるようにしておくよう指示しましたが、これもなかなかうまくいかなかったです。
少なくとも、患者さんの退出に関して、忘れ物がないように声掛けをして、退出後チェックを必ずするよう指導したにも関わらず、何度も忘れ物をスルーしてしまうという失態をしてしまい、これで医師に注意された挙句仕事に来なくなるという結末を迎えました。
新人の頃の私もそうでしたが、緊張状態ではなかなか言われたことが思うようにできないものです。
コミュニケーション能力の低さなどからできない方もいるかもしれませんが、勉強ができて学力が高くても、人と話したり、バイトなどで言われたことがぜんぜんできなくて・・・みたいな方は、実務よりも研究などの方が合っているかもしれません。
③人嫌い
検査で結果を出すということは、自分の技術のすべてを出し尽くして、患者さんのためにできるだけのことをする、ということです。
人とかかわることが好きでない方は、まずもって医療・看護・介護の職種には向いていません。
学生の頃、就職担当の方の説明会で、「就職するということは、自分の技術を使って会社(病院)という窓を介して地域に貢献することだ」というお話を聞いて大変腑に落ちました。
就職するということは端的に言えば労働・技術と対価の交換行為でありますが、一方で、自分の仕事の先に患者さんの笑顔があることを想像できるのであれば、その職業で頑張れるのではないかと思います。
そういった意味で、人のために動くことができない、人が好きではない方は、こういった職業には全く向かないと考えています。
人とコミュニケーションをたくさん撮れる人であってください。
放射線技師になるには?
文部科学大臣指定の教育機関(大学(4年)や短期大学・専門学校(3年)など)で診療放射線技師養成課程を学ぶことで診療放射線技師国家試験受験資格を得ることができる。
試験は年一回。
最近は高学歴化が要求されており、専門学校よりは4年制大学への進学がお勧めされるが、公務員でもなければ卒業後給与体系は変わらないところが多い。
学校選択のポイントは、国家試験合格率の高い(90-100%)ところを選ぶのが一般的に良いとされる。
合格率の高さのカラクリは、卒業前の学内試験(模擬テスト)で合格ラインに満たないものを受けさせないことによるものであり、ある程度、自ら学習する意欲がある方が良い。
就職に関して、通常の就職活動のほか、場所によってはコネクション等も重要になることがある。
学内生成期もさることながら、学生として模範的な生活を送り、教員との関係を良く保つのが重要。
自分の技術が患者さんの笑顔と明日につながる大切なきっかけをつくる職業です。
頑張っていきましょう!