黄疸とあざは発生メカニズムと体の状態の指標になるかどうかの違いがあります。
黄疸は臓器の機能が原因で発生し、病気の指標になります。
あざは皮膚と血管の機能が原因で発生し、病気の指標になりません。
「黄疸」とは?
黄疸とは、血液中のビリルビンという色素が増えることで、皮膚の色が黄色になる状態です。
血液中の成分の1つである、赤血球の中にビリルビンが含まれています。
ビリルビンは肝臓で赤血球が破壊されることで出てきます。
健常者の場合、ビリルビンが体内に漏れ出ないように、肝臓の中で特別な処理を行います。
この処理をされた後、胆汁と呼ばれる消化液になります。
この消化液は十二指腸において、胃の消化を受けた食物と混ぜ合わされます。
そして、便として体外に排出されます。
便の色このビリルビンの色です。
しかし、肝臓に異常がある方の場合、肝臓内での特別な処理がされないので、体内にビリルビンが流出します。
肝臓から血液中に移り、全身に回ります。
毛細血管を介して、皮膚に移ります。
新生児でも黄疸が発生するのですが、これは5日ほどで消失するため、生理的黄疸と呼ばれます。
「あざ」とは?
あざとは、皮膚の一部分が、周囲の皮膚の色と異なる色だったり、状態が違っていたりするものを指します。
あざの色によって名称が異なります。
最も身近なのは青あざです。
地域によっては、青たんと呼ばれるものです。
体の一部をぶつけることで、衝撃を受けた箇所の下を走っている血管が破れることで、内出血を起こした状態になると青く見えます。
血管が破れたことが原因なので、内出血が収まり、血管が治れば、青あざも消失します。
また、新生児では、青あざが見られます。
これは、真皮で発生する蒙古斑や太田母斑などがあります。
蒙古斑は消失しますが。
太田母斑は消失しません。
さらに、母斑には青あざだけでなく、赤あざや茶あざもあります。
赤あざはサーモンパッチと呼びます。
これは自然消失します。
茶あざは表皮内のメラニン色素が増加することで出来ます。
例として、扁平母斑やベッカー母斑があります。
いずれも自然消失しません。
黒あざと呼ばれるあざは、主に皮膚の良性腫瘍、いわゆるほくろと呼ばれます。
大きさや数に定義はないのですが、先天的なものと後天的なものがあります。
しかし、ほとんどの場合、病的なものではありません。
ごくまれに皮膚の悪性腫瘍、いわゆる皮膚がんの可能性があるので注意が必要です。
「黄疸」と「あざ」の違い
黄疸とあざはその発生メカニズムが違います。
黄疸は、ビリルビンが体内に漏れ出ないように、肝臓の中で特別な処理を行う機能が働かなくなった時もしくは、胎児から新生児になった時に、腸内と肝臓の機能が変化することで起きます。
前者は病的な黄疸、後者は生理的な黄疸です。
そのため、黄疸の発生は臓器の機能が原因となります。
一方、あざは、転倒などが原因で生じる内出血やメラニン色素の増加、皮下脂肪の蓄積によって生じます。
ごくまれに、紫外線や転移によって悪性腫瘍が原因の場合もあります。
つまり、皮膚組織や血管の機能が原因となります。
次に、皮膚の色が体の状態を調べることに使えるかどうかが異なります。
黄疸はその発生メカニズムから、肝疾患の指標になります。
また、新生児の生理的黄疸では、その皮膚の色からそのビリルビン値を推定することが出来ます。
産婦人科もしくは、助産院では黄疸計という器具を用いて、推定ビリルビン値を求めます。
内科ではビリルビン値だけを見ることはないです。
血液検査によって肝臓、腎臓を含む様々な臓器を総合的に評価します。
しかし、あざには、様々な色があり、それが生理的なものか病的なものかは専門家でないと判別できません。
そのため、あざの色だけでは体の状態を把握することは出来ません。