食品・飲食

脱サラ農業の現実は?向いてる人の特徴3つ

農業に向いてる人

昨今、アグリビジネスが注目されている影響もあり、脱サラ農家さん、脱サラ農業などを目指す方が増えてきています。

しかし、都会育ちの方は、農業が具体的にどんな仕事内容なのかイメージがつかないかと思います。

今回は、現役で「農業」を6年されている方に、インタビューのうえ、実体験を踏まえて根掘り葉掘り聞いてみましたので、これから目指そうと考えている方の参考になることでしょう。

農業の仕事内容と給料

仕事内容

農業と言っても野菜、コメ、果物など、育てる対象によってかなり内容は変わります。

野菜を例にしても、朝早く収穫しなければならない野菜をメインにするか、季節が限られた野菜を主にするかなど、内容で開始時間は大きく変動します。

基本的に、日の出とともに起床し、水やり。

日中は収穫、洗浄、出荷、配達、午後は畑の手入れ、夕方は水やり、翌日の準備、日が暮れた後は室内で袋詰めやPOP作り、経理集計など、最初から最後まで自分に責任が乗ってきます。

野菜の出荷先も誰かからの紹介がなければ自力で開拓していかなければなりません。

POPでも野菜の売り上げが変わったりするので、ただ野菜作りだけしていればいいわけでもありません。

縦横のつながりも大事で、年配の大先輩へのリスペクトも忘れずに行動しないと、睨まれるとその地域ではうまく立ち回ることができないので、周囲の人に好かれるようなコミュニケーション能力も必要になってきます。

全体的にバランスが大事です。

給料や年収

年収は決して高くないです。

年収は120万円前後ですが、生活は困らない程度です。

農業の仕事のやりがい

やりがいは、何と言っても自分がタネや苗から育てた野菜が大きく成長していき、それが形になって消費者の方の手に届き、「美味しい」と言ってもらえた時の笑顔や温かい言葉が背中を押してくれます。

野菜の手入れは自然との闘いになるので、自分の思った通りに育つことなんてないにも等しいですが、それでもたくましく野菜が育って、製品として立派に出荷できる状態になったとき、やりがいを感じます。

店や農協などに出荷しても直接お客様から感想を聞くことはできないのですが、バイヤーさんから何度も声がかかったり、固定客がついたり、安定した売り上げが確保できるようになってくると、見えないながらも形になってきているのだなと実感します。

直売イベントなどに顔をだすと、直接お客様とのやり取りができるので、自分では気づかなかった改善点や、思わぬ要望があったりします。

客様の声を今後の参考にすることができるので、貴重な機会だと思って積極的に参加するようにしています。

農業の仕事で辛いこと

とにかく最初から最後まで全てを決め、全てに責任を負わなければなりません。

種はどこから選ぶのか、いくらで仕入れるのか、どんな肥料構成にするのか、いつ植えるのか、どれくらいの力加減で植えるのか、水やりの頻度はどうするのか、気温は何度に管理するのか、雑草取り、温度管理、収穫時期の設定、価格設定、出荷先の選定、配達、POPの用意、廃棄をどうやって減らすのか、野菜をどうやって新規の方に売り込むのか、経理処理、売り上げはどこに還元するのか、人は雇うのか、家族は手伝ってくれるのか。

体を酷使しなければなりませんし、1日8時間労働で全ての仕事が終わるほど楽な仕事ではありません。

1日24時間では足りないと常に感じています。

毎日残業しても仕事が次から次へとふってくる感じです。

考えれば考えるほど仕事はいくらでもあるので、ある程度の割切りは必要なのかもしれませんが、責任を伴う仕事なので、どこかで手を抜くこともできません。

農業へ向いている人の特徴3つ

向いてる人の特徴3つ
  1. 体が丈夫な人
  2. 忍耐力がある人
  3. 好奇心がある人

①体が丈夫な人

とにかく農業は体力を使います。

夏の暑さ、冬の寒さにも負けず、1日中外での作業をしてもバテない、風邪をひかない体を作らなければなりません。

夏は暑さと仕事量の多さ、日の長さでやることが山ほどあります。

冬は雪が降っても仕事があるので、ダウンを着込んで1日中作業します。

雨が降っても台風でも吹雪でも仕事はあるので、ずぶ濡れになっても作業を続けなければならないので、体が資本になります。

ダウンしても野菜の成長は待ってはくれないので、入院などするような事態になっても、入院時期を仕事の少ない季節にずらして、頑張って仕事を続けている人をたくさん見てきました。

植物が相手なので、収穫や水やりを1日でもおろそかにすると、最終的に製品に影響が出てしまいます。

広い土地を耕すしなやかな筋肉と、毎日仕事を続けることができるタフな体力が必要です。

②忍耐力がある人

忍耐力は、農業にとって必要な要素です。

野菜を作っても、必ず売れるとは限りません。

自分が丹精込めて作った美味しい野菜でも、消費者の方に手に取ってもらい、食べてもらい、またリピーターになってもらう。

自分が食べていけるだけの収入を確保できなければ、職業として成り立つレベルには達しません。

自分で売れるための方法を考え、試し、それが正しいのか間違っているのか判断し、続けるかどうか決めるのは、一朝一夕でできることではありません。

自分なりの形を整え、モノにするまでに少なくとも数年はかかると思っておいた方が良いと思います。

ですので、忍耐力がある方ではないと成果が出る前に諦めてしまう可能性があります。

様々な方法を試してみて、失敗して、もがきながら、いい方法を探していくことが必要です。

また、定年がない職業でもあるので、上の世代の先輩がたくさんいます。

色々言われることも多いですが、うまくかわせる忍耐力も必要です。

③好奇心がある人

農業へ向いていない人の特徴3つ

好奇心がある人、としたのは、今後の農業の未来を考えたうえで、以前の農業の形をそのまま踏襲して続けるだけでは今後数十年ずっと続けていける職業ではないからです。

年齢を重ねても、常に好奇心を持ち続けて、新しいアイデアを生み出したり、新しい方法を導入してより効率的に育てる方法を編み出したり、試行錯誤しながら収量を上げていかなければなりません。

毎年新しい品種にチャレンジしたり、より病気に強い品種に取り組んだり、場所を変えたり、農薬をどうするか、虫や獣の被害をどう減らすか、既存の情報だけで対処できないことも多く発生します。

新しい人との出会いも積極的に行うことで、違う職種の人から得たヒントが自分の仕事に役立つこともあるので、好奇心を持って様々な角度でチャレンジしていく精神はいくつになっても持ち続けていかなければならないと思います。

向いてない人の特徴3つ
  1. 計画性のない人
  2. 体が弱い人
  3. コミュニケーション能力の低い人

①計画性のない人

思い付きで何かを始めたり、行き当たりばったりで決めてしまったり、計画性のない人は農業には向いていません。

農業は何か1つのピースでも計画性がなく適当にきめてしまうと、そこからボロが出てしまいます。

きちんと最初にある程度計画を立て、その計画からどの程度はみだしても問題ないか、どのラインをはみ出したらどこまで軌道修正しなければならないのか、冷静に客観的に判断できないと、ただ野菜を作っているだけでは職業として成り立たせるのは至難の業です。

会社員は会社に言われた仕事をこなせばいいですが、農業は「これをすれば給料がもらえる」という明確な基準がありません。

野菜を作っても売れなければ意味がない。

美味しくても知ってもらわなければ意味がない。

売れても種や肥料、道具にかかった費用の元が取れていなければ経営は成り立ちません。

②体が弱い人

身体が弱い人は農業には向いていません。

農業は365日休みがない職業です。

雨の日も風の日も雪の日も外で作業しなければならないこともあります。

気温もマイナスから体温を超える猛暑まで、外で作業しなければならないことがあります。

野菜の成長は待ってはくれないので、家族で数日旅行に行くこともままならないですし、入院することもできません。

ですので、体が丈夫で、ずっと働き続けられるタフな体が必要です。

筋肉があればいいというわけではありません。

大きな筋肉があっても、かがみ続けての作業には邪魔になってしまいますし、逆に物を運ぶ作業では活躍できます。

細くてもキュッとしまった筋肉の方が向いている作業もあります。

持久力がある人もいれば、瞬発力が必要な作業もあります。

仕事内容はその人の向き不向きでいろいろ調節はできると思いますが、とにかく風邪をひかずに毎日働くことができるかどうかが大切です。

③コミュニケーション能力の低い人

コミュニケーション能力が低い人は農業には向いていません。

農業は「一人で黙々とできる仕事である」と考えられがちです。

確かに、作業に関しては一人で行うこともできるので、収穫、出荷作業はコミュニケーション能力が低くてもこなすことが可能です。

しかし、農業を自分の力で仕事として行っていくためには、出荷先の店の人との連携、受注、お客様へのクレーム対応、時代の流れを読んで何が売れるのか予想する力、要望を取り入れて次に生かすなど、周囲の人とのコミュニケーションが必要な場面が数多く発生します。

直売イベントでは同じ商品でも自分のコミュニケーション能力で売り上げに大きく差が出てしまうので、話術に長けた人のお店は繁盛します。

野菜の味はもちろん、人柄でもリピーターさんは付きますので、コミュニケーション能力、もしくは無口な人であっても人に愛される「人たらしの力」がある人が有利です。

脱サラして農業へなるには?

各県で募集している「新規就農者募集」に応募し、県の施設&研修先の農家で実習を重ねてから独り立ちする人が多いです。

もしくは、県を通さず家業を継ぐ方や、後継者不在の農家さんからそのまま事業継承をされる方もいます。

かなり体力的にも金銭的にもきつい職業なので、きちんと事業計画を立てて、勝算がある場合でないと難しいと思います。

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